ゆっくりでいい
焦らず
ゆっくり
ゆっくりでいい
まわりをキョロキョロ見回し、人が居ない事を確認!そーっとドアノブに手を掛ける開けたら隙間からススっと体を滑り込ませ暗い室内を見回す………
少しづつ目が慣れてくるのを待つ……
沢山の棚には缶詰や、袋に入った穀物等が沢山並んでいる、そう!ここは食料庫でーす
私のお目当ては、ワイン!マルコのパシリです!
倉庫の物に手を出した事をサッチに見つかったら確実にマストに吊るされるから…(エースが良く吊るされてる)サッサと見付けてサッサ逃げるに限る!!
どの辺りかな?細くは解らないんだよね…
大きな酒樽は沢山あるんだけど、ワインの小さなボトルなんかが見付からない…大きいのから移し変えるか…悩むー
と考えていたら、トントンと肩を叩かれたのでとっさに床にひれ伏し
『すみません!申し訳ありません!吊しだけは勘弁して下さい!!』
とおデコを床につけ謝ると
「馬鹿、俺だよい、遅い!」
『あっ、ヨイだ』
と顔を上げると
おっ、おお!ヨイもといがマルコ怒ってるね
「小さい酒瓶と樽は、こっちの棚だ」
と説明しながら私の頭蓋骨を片手で持って力を入れ引きずる
『ぐあああ!解りました!解りました!』
頭割れるー痛いー!
とマルコが頭から手を離して赤ワインのボトルを2本取っると同時にパッとドアを見るなり、
素早くボトルを持っている腕で私の首をホールドし、片手で口を塞ぎ棚の隅に引き込んでしゃがむ
ガチャ!
ドアを開けて部分的に小さな電気を付け
誰か入って来た……
誰か解らないので静かに二人で耳を澄ます
あっ!鼻歌で解った…サッチだ……
なんだろう、紙をめくる音と書き込むペンの音がするから残量確認かな?
長引きそうだなーと考えていたら、マルコが手を離して、横に座り、ワインのコルクをソーっと引っ張り出し開け、手渡して来た
もう一本もソーっと器用に音をたてずに開け、こちらをチラッと見てボトルをクイッと上に上げる
(カンパーイ!)と私もボトルを上に上げサッチの鼻歌を聞きながら静かに飲み出す
(あーワインが染み渡るー)
横に並んで、狭いので少し向き合う形で座り
静かに上に付いた窓から夜空を見ながら飲み進めるとマルコがこちらを見てるのに気が付いて目を向けると優しく笑う、それを見ていたら急に何とも言えない気持ちになってきた
(酔ったのかな……)
触りたい
無意識にスッと手を伸ばしてアゴの髭に指先で触れる
マルコの表情が変わるのを感じて手を引こうとしたら
手首をつかまれ嬉しそうなマルコの頬に添えられ…
頬から首筋、鎖骨、胸にある入れ墨へとマルコの手が導くままなぞっていく…
オヤジの入れ墨の下でマルコの心臓が動いてる……
ガチャ
ビクッと手を引っこめる
微妙な雰囲気も一緒に引っ込む
「ここにいたんだぁ」
「おう、リリィ」
(あっリリィが入って来た)
「時間かかるの?」
「すぐ終わらせる」
「ちょ…ちょっとリリィ…待ってろって…」
「だってーつまんないんだもん」
二人の会話を聞きつつ、マルコを見たら、つまんなそーにワインを飲んでる
………私も飲も
飲み進めてボトルのワインが空になりかけた頃にリリィが痺れを切らして話し出す
「ねーぇ、まぁだー?」
「あと…コレを数え…て…とっ!おわり!」
「キャっ!あっ…ヤダぁちょっとサッチ」
「お前だってさっきやったじゃねぇか」
「ヤダァッ……
マルコが横から後に手を回し両手で私の耳を塞ぐ
マルコに振り向き目を向けるとフィッと逸らされる
フーン、私が聞くとマズイのかな………
………不意をついてバッと頭を動かす!とっ取れない…
マルコさすが……お見通しか……
モダモダとマルコの手を剥がしにかかる
(かくなる上は!!)
斜め後辺りのマルコの脇に手探りで手を伸ばしコショコショ動かす
「ブフッ、馬鹿!お前!!」
「馬鹿はお前もだマルコ」
「『あっ』」
リーゼントの怖いお兄ちゃんがいる……
「飲んだのはワイン2本か?」
「『…………。』」
***
結局マストに吊るされた。チーン
『…マルコ』
「…ん」
『サッチ、怖いね』
「……」
『取りあえずマルコ…おやすみ』
「寝んのかよい!!」











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!