軽やかな足取りで何処かへ向かう少女。
足音は美しい音色を生み出している。
鼻歌を歌いながら歩く彼女は " あなたの名字 あなたの下の名前 " 。
満開になった桜並木を、優雅に歩いている。
地面にはらりと落ちた花弁をしっかりと踏み締めながら。
枝の間から注がれる木漏れ日が、少し眩しい。
そんな桜並木を抜けた先、其れはあった。
今日からあなたの下の名前が通う事になる学校だ。
入学式の看板が置いてあり、沢山の人で賑わっている。
綺羅びやかな校舎を見て、あなたの下の名前は一つの想いを浮かべた。
子供っぽいが、其れは其れで良い所なのだろう。
今日から巻き起こる希望を胸に、あなたの下の名前は門をくぐる。
" わたくしあなたの下の名前、開始早々道に迷う "
人の流れに沿って歩いていただけなのに、何故か変な所へ来て仕舞った。
此の学校が余りにも広過ぎるのが悪い(
届く筈も無い愚痴を言いながら、分からない道を感覚で進む。
校長先生の長ったらしい話を聞かなくて良いのは助かるが、流石に入学式には出たい。
あのドキドキワクワクする気持ちを味わいたいのだ。
苦笑を零して其の場に立ち止まる。
そろそろ歩くのも疲れたので、其処ら辺の段差に腰掛けた。
…こんな事になるとは本当に予測していなかった。
仄暗い此の空間に、私の呟きが呑み込まれていった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。