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第4話

虎杖という男②
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2024/06/13 21:00
虎杖
あ!あなた、おはよう!
朝早くから何なのだろうか。
頭が痛い。昨日は結局睡眠薬に頼り無理やり体を休めた。
その影響が今日である。少し散歩しようとラフな格好に着替え少し歩けばこれだ。
あなた

.....おはよう。虎杖くん。昨日振りね。

昨日の笑顔を懸命に思い出し、必死に顔を作る。
虎杖
おぉー!そうだな!あなたもランニング?
うぅ....明るい...。私が必死につくった笑顔よりも何倍も素敵な笑顔で返された。
あなた

そんなものじゃないわ。気休めの散歩よ。

ふぅ~ん。と彼は返す。私は微笑みを絶やすこともなく、散歩を続ける。
「じゃ。」と言ってそのままランニングを続けるのかと思ったらなぜか一緒に歩いてくる。
あなた

?どうしたの?
調子悪いの?

虎杖
いやいや。一緒に散歩しよーよ。俺もたまにはゆっくり景色見たいし。
え?うそうそうそうそううそ。そんなに距離詰めてくる?怖いんですけどこの人。
誰かと1対1で話すなんて何時ぶりだろう。伏黒君を除いて。
異性となんてもしかした初めてのような気がした。伏黒君を除いて。
何を話せばいいのかわからなくなってきた。他愛のない話でつなげたいがそのネタがない。
伏黒君であればいくらでも思いつくのに。うぅん....いや....どうだろう。
虎杖
そういえば俺とは違う新入生が入るらしいね。
あなた

え。そうなの?

虎杖
うん。それ以外知らないんだけどごじょー先生が。
そういえばいつか、仲間の呪詛師からそんな連絡が来たような.....
先生以外のメールはしっかり見ていないから。忘れていた。
あなた

仲良くなれるといいな。

虎杖
なー。あなたみたいに明るくて優しいやつがいいな!
ずきん。

と心が痛む。そうやって明るい顔をされたら誰だってウソをつくのはためらうだろう。
あなた

そうね。

私はそう返すことしかできなかった。

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