朝早くから何なのだろうか。
頭が痛い。昨日は結局睡眠薬に頼り無理やり体を休めた。
その影響が今日である。少し散歩しようとラフな格好に着替え少し歩けばこれだ。
昨日の笑顔を懸命に思い出し、必死に顔を作る。
うぅ....明るい...。私が必死につくった笑顔よりも何倍も素敵な笑顔で返された。
ふぅ~ん。と彼は返す。私は微笑みを絶やすこともなく、散歩を続ける。
「じゃ。」と言ってそのままランニングを続けるのかと思ったらなぜか一緒に歩いてくる。
え?うそうそうそうそううそ。そんなに距離詰めてくる?怖いんですけどこの人。
誰かと1対1で話すなんて何時ぶりだろう。伏黒君を除いて。
異性となんてもしかした初めてのような気がした。伏黒君を除いて。
何を話せばいいのかわからなくなってきた。他愛のない話でつなげたいがそのネタがない。
伏黒君であればいくらでも思いつくのに。うぅん....いや....どうだろう。
そういえばいつか、仲間の呪詛師からそんな連絡が来たような.....
先生以外のメールはしっかり見ていないから。忘れていた。
ずきん。
と心が痛む。そうやって明るい顔をされたら誰だってウソをつくのはためらうだろう。
私はそう返すことしかできなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!