呪術高専___
数か月後。
私は今呪術高専に内通者として在籍している。
両親は遠い昔に呪霊によって亡くなったと工作し、呪霊がいない世界を目指す可哀そうな少女として皆認識している。
中学校の時のように浮かないか心配だったが唯一の同級生の伏黒君は無口であまり私の事情に詮索しない人だったので助かった。
最初は一言もしゃべらなかった私たちだがずっと一緒にいると他愛もない話もできるようになった。
彼の返事はいつもそっけないがちゃんと返してくれるだけ私は深く安堵した。
昔は何か質問するたびに悪意が必ずついて帰ってきたからだ。
心底めんどくさそうな顔をした伏黒君はそれ以上何もしゃべらなかった。
私も何もしゃべらなかった。お土産は期待しておこう。
私たちの教師。五条悟がなにもないところから「ぱ。」と現れる。
「「はぁ~。」」ため息が同時に出たところで五条から笑みがこぼれた。
私としては心底目を合わせたくなかった。なんなら存在自体が嫌いであった。
五条悟に今日も会わなければならないということに私はため息をついた。
伏黒君は知らない。
今度こそ何も反応しなかった。諦めたのか一人で何かぶつくさ言っている。
伏黒君とはお互い目を合わせながら「無理だな。」と思った。
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その日の授業が終わり放課後になったのはいつもよりはやい3時だった。
伏黒君が明日に向けての荷づくりをしなければならないし私も今日は任務がぎっちぎちに詰まっていたからである。
依頼は3件。
情報による呪霊のレベルは高くないが効率よく回していかないと明日に響くだろう。
そうはいっても私は伏黒君とは違いなにかと楽である。
まず私には監督官がいない。
これは準1級術師だということも考慮されているが、自分の術式が帳や監督官に影響を与えるということを伝えた(嘘)ため
GPSや緊急時は連絡を一発でとることができる術具を保持することによって認められた。
それによって自分は監督官の監視を変に気にせず呪詛師たちと情報を交換することができる。
また自分の依頼は自分でとるようになった。
要は個人経営者のようなものである。めんどくさいこともあるが基本的に時間を調節できることが魅力的な利点である。
だから私は大きな責任をほぼ自分で背負う代わりに呪詛師としての最高の役回りをゲットすることができたのである。
***
虎杖悠仁が宿難の指を取り込み器となった連絡を受けたのは午後11時。
呪術高専からのメールからだった。
それから5分後、先生から百鬼夜行の詳細をメールで受けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!