あの日‥それは、妃沙にとって忘れられない1日だった。
本当は母とクッキーを焼こうとしてた、ごく普通の日曜日だった。
だが、あいにく妃沙は熱を出していて代わりに姉の沙也加がクッキー作りを手伝っていた。
それからしばらく経ち、クッキーも焼けてきたところだった。
♪ピンポーン
チャイムの音と母親の声で目が覚めた妃沙。
これが、悪夢の始まりだった。
姉(沙也加)は、腹部を刺され倒れ込んでしまった。
妃沙に向かって歩く犯人
そこには、玄関先で殴られて頭から血を流している母がいた。
妃沙が逃げようとしたその時、
妃沙の左腕にナイフを刺されてしまった。
母(楓)は、お腹や胸、極めつきに頭を刺されてしまった。
目の前には刺されて倒れてる姉と母。そして、面識のない犯人。
左腕の痛みと悲しみと熱で朦朧とする意識によりしゃがみ込んでしまった妃沙。
妃沙に向かって歩く犯人。
逃げようとして這いつくばったが、もうダメだと確信した。
そのとき!
♪ピーポーピーポー
家から聞こえる悲鳴や怒声に、近所の人が110番をしてくれたらしい。
この後、妃沙は気絶してしまうのだが、
~~~事件翌日の朝~~~
目が覚めたら、そこは病院だった。
目が覚め、母と姉が刺された昨日の光景を思い出し、恐怖に駆られる。
このときから妃沙は、男性に対して恐怖を覚え、酷いときは過呼吸を起こすようになった。
また、テレビを観れば、
自分の名前や家族の名前が公開され、勝手に知らない人達が私達のことを喋っている。
妃沙は、身体的にも精神的にも限界で一時は喋ることも食べることも出来ない状態になってしまった。
事件から4日後、葬式が行われることになり、妃沙も退院することになった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!