意識を宙に浮かせていた。
考えるのを諦めていた。
受け入れればそれで良いと思っていた。
期待するのをやめれば良いと思った。
そしたらキラは、太陽にはならなくても人間でいてくれる。
ただ意識を失くした。
思考回路をショートさせて、燃やして、捨てた。
熱くなりすぎて疲れたのかもしれない。
_______今、俺が頑張らないと、誰も何も出来ないのに。
紅葉は…言い方は悪いが、今のキラを相手にしたらダメだ。本当に心労で死んでしまう。
ただ、俺は。
俺がもし心労で死んだとして。そしたら、心配してくれる奴はいるのか?
ダメだ。バカなことを考えるな。
太陽に照らされて月にでもなったつもりか?
……バカなんじゃねぇの。
ここにいても埒があかないのは火を見るより明らかだ。
一旦、一旦降りよう。水を摂ってこよう。キラの分も用意しよう。
扉を開ける口実を作れば良い。
そうすりゃ、開けれるんだろ?
ナニカが込み上げてくる。
吐くな吐くな吐くな。おい、今ここで俺が折れたらどうするんだ。もしキラが降りてきたらどうする?壊れるに違いない。ダメだ、じゃあ片付けるしかない。どこに?どうやって?
_______うるせぇ、黙れ。
もう血は机にこびりついてる。蘇生は無理。そもそもこんな状態を他の奴に見せるっていう方が無理だ。ならどうするべきか。流石に仲間の遺体を棄てるなんていう思考に至るほど俺は狂っちゃいない。
疲れた。なんで勝手に死んでるんだ。
俺だって死にたい。心労で死んでやりたい。
ポットからコップに水を注ぐ。
温めたはずなのにもう冷めており、氷を入れる必要は無さそうだった。
答えるはずもない問いだ。
前のキラの顔を、見せてやれなくて。
なんとかルビーと紅魔館に辿り着いた。
髪を解いて眠りにつく。
なんとなくもう起きる頃合いだと思ったら、時計の針は10から11に変わっていた。5分…眠る、より仮眠の方が正しかったかもしれない。
声に出さずに欠伸をしながら俺は立つ。少しフラフラするものの、何も気にせず窓から紅魔館の外へ飛び降りた。
あ、これ多分足の負担ヤバいやつだ。まぁ別に良いけど。てか慣れてるし。
_______なんで俺が、こんなことやってんだろうな。
まぁいいか。先輩として、後輩にお手本見せないとな〜ってくらいだろ。
終わったら死ぬように仕向けるのも、「お手本」
ルビーに直接会わないように道を右折して、裏の窓から入る。多分ここ紅葉の部屋か…?字面だけ見たら勘違いされそうだな。はは、笑えねー。
音もなく一階へと忍び寄る。
耳元で言う。ザキは少し驚いたが、流石頭脳派。冷静を欠くことは……
いや、焦っていても顔には出さないのが基本中の基本だったな。俺はザキを過大評価していたかもしれない。失敬失敬。
俺は何も関係ない。
ただ気分が乗って、昔に戻った気がして、気持ち悪くなって、それでこんな行動に出てるだけだ。
こうでもしないと治らない気がした。平和ボケが俺の頭痛の種だってんなら、こうするのが正解だ。
やっぱ人間なんだな。
俺も、アイツも。
自分では棄てれないくせに、俺に棄てさせるのは出来て。
俺も面白半分みたいな感じで死体扱って。
可哀想なヤツ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。