第2話

1話
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2021/11/03 01:17
2003年

くるくる、くるくる…と

白い和傘を回しながらゆったり歩く男。

その男が通る道は

他の道に比べより一層盛り上がっていた。
mob
おうあなたのニックネーム‼︎
今日こそ俺と腕相撲で勝負だ‼︎
あなた
やんねェよ…
mob
あなたのニックネームちゃん‼︎
今度また俺達と遊んでね‼︎
あなた
おゥ、覚えてたら遊んでやらァ
mob
あなたのニックネームちゃん聞いてよ‼︎
うちの旦那ったらま〜た…
あなた
オメェんとこの愚痴…
俺ァ聞き飽きちまったぞ……
そう話ながら歩いていく。

浅草寺にある、雷門に向かって。
あなた
漸く着いた
あなたは雷門を見てニッと笑うと

和傘を閉じ門の柱にもたれ掛かるように

あぐらをかいて座った。

和傘はあなたの隣に置かれている。

そして右手で自身の右膝をパシンッ

と叩くと声を張り上げた。
あなた
今日もこの浅草を…
オメェらで盛り上げろ‼︎‼︎
あなた
不良は俺に任せとけェ‼︎
チンピラにゃあチンピラがお似合いってもんだ‼︎‼︎
オメェらは楽しむ事だけを考えやがれ‼︎
あなたの言葉に浅草の人々は騒ぎ出す。

それを見たあなたは

嬉しそうに口角をあげたのだった。
それから雷門の前でジッと座っていると

遠くの方から子どもが数人

ボロボロの格好で泣きながら走ってくる。

あなたは立ち上がり袖に両腕を入れると

子どもの方に歩いていく。
mob
あなたのニックネームちゃん‼︎
mob
あなたのニックネーム〜‼︎
子どもたちはあなたに抱きつく。
あなた
どうした
mob
俺たちが遊んでたら…
変な奴が、俺たちに絡んできて…っ‼︎
mob
お金、取られちゃったの〜‼︎
あなた
そうか、金ェ…取られたのかァ……
あなた
そらァ、許せねェな
あなたは子ども達の頭を優しく撫でると

置いてあった和傘を取りさす。

そして雷門の前に立つと思い切り叫ぶ。
あなた
テメェら‼︎祭りだァァァ‼︎‼︎
浅草であなたが“祭り”と叫ぶ時

それは“喧嘩”を意味している。

しかしあなたの言葉を聞いた浅草の人達は

恐れる所か盛り上がった。
あなた
案内しろ、俺がオメェらの金
あなた
取り戻してやらァ
mob
うん!
あなたは子ども達に連れられて歩く。

そして、そんなあなたを見ている人物がいた。
??
面白そうな奴だな
??
あ‼︎俺たちのチームに入れようぜ‼︎
??
いいな、それ‼︎
6人の男は

あなたにバレない様に後ろを着いていく。

そしてあなたはというと
あなた
おい、テメェがこいつらの金を奪ったクズ野郎か?
mob
あ"ぁ?だったら何だボベラッ‼︎
あなたは和傘をさしたまま

男の顔面に回し蹴りを喰らわす。

男は変な声を出すと数メートル程吹っ飛んだ。

あなたは男に近づくと

顔を鷲掴みにして持ち上げる。
あなた
テメェみちるとあきらの金取りやがって
浅草でんなダセェ事する奴ァ…
あなた
俺が許さねェ
mob
わ、分かった‼︎返す!返すから‼︎
男はあなたに怯えながら

ズボンのポケットから取った金を取り出し渡す。

男を離して金を貰うとあなたは再度睨む。
あなた
俺の浅草から消えろ
二度とここを跨ぐんじゃねェぞ
mob
ひぃぃぃぃ‼︎‼︎
男は一目散に逃げていった。

そしてそれから暫くすると……。
mob
流石あなたのニックネームちゃん‼︎
俺たち浅草の顔だぜ‼︎
mob
あなたのニックネーム‼︎ありがとう‼︎
mob
ありがと‼︎
あなた
おォ、もう取られんなよ
mob
うん‼︎
mob
よっ‼︎“ライモン”あなたのニックネームの名は伊達じゃないねぇ‼︎
などなど…。

浅草は盛り上がっていた。

あなたはその声を聞き流しながら

また雷門へと歩いていく。

しかし

それを阻むかの様に

あなたの前に立つ6人の少年がいた。
??
お前、あなたのニックネームって言うのか‼︎
あなたは眉を顰める。
あなた
テメェら、誰だ
浅草のモンじゃあねェな
??
俺は佐野万次郎‼︎
??
マイキーだ‼︎
マイキー
あなたのニックネーム‼︎今日から俺らのダチな‼︎
あなた
はァ?

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