おれはクリオネが見えなくなったのを確認して動きだした。
おれは時計に視線を移した。
そろそろ10時だ。
それから少しその場にとどまった。
そのあいだには誰も来なかった。
おれがまた動き出したとき、伯爵がアナウンスをした。
おれは足音が聞こえた方に走った。
シャチがレストランに向かっていた。
おれに足音が近づく。
後ろからだ。
息づかいが聞こえた。
アゲハが後ろにまわりこんだ。
2人ともおれとの位置は3メートルくらいだ。
シャチとアゲハが同時に手を伸ばした。
びくり、と伸ばされていた手が止まった。
ゆっくりと手が下がる。
シャチがアゲハについて行った。
見えなくなったところでおれは口を開いた。
それから短く話してすぐに分かれた。
そしてゲームが終わるまでにおれはタッチできなかった。
ウサギはアゲハをタッチした。
シャチはアゲハがタッチされる前にタッチされた。
昼のゲームがおわった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!