IVE警察の皆様へ
最後の予告状です。
今夜、光るビルの上にある町のシンボルを
奪いに行きます。
by ユジン
この町には町長が建てた、25階建てのビルがある。
屋上には町のシンボルともいわれる、
輝く銅像があり、その価値は1億にも上るらしい。
私は屋上を1人で、
他の皆はビルの中を見回りに行った。
予告状通り、私はこのビルの屋上に来た。
だが、唯一の監視者であるウォニョンは
銅像の近くで寝ていた。
ガシッ
いつものように華麗に盗もうとした、その時。
寝ているはずのウォニョンは
私の腕を離さないように強く掴んできた。
ウォニョンは私の顔を見つめたまま、
硬直している。
どうやら、気づいたようだ。
ガウル署長は私の名を呼んでいるが、
今は到底、動けそうにない。
ウォニョンは泣きそうになりながらも
真剣な眼差しで私を見つめる。
続々と、皆も屋上にやって来る。
私はウォニョンの目元に溜まった涙を
自分の指で拭い去った。
スタスタスタ...
私は屋上のフェンスへ向かって歩き出す。
手を拡げ、私は全身に強い風を浴びた。
スタスタスタ...
私は最期のケジメとして、
ウォニョンの元へ歩み寄る。
ウォニョンに、最期のキスをした。
最期のキスは少し冷めていて
なんだか、ドロドロしていた。
私がどこかへ行っても...
ウォニョンは迎えに来てくれるらしい。
私は死ぬことを諦めた。
~fin~
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。