気が付くと、
高専の医務室のベッドで目が覚めた。
…そもそも、あの時見えた夏油くんが
幻覚がどうかは分からないけれど。
私がこの場にいるという事は、
駆け付けてくれた、という事なのだろう。
手が、温かい気がする。
何か、握られているような。
重い頭をゆっくりと動かすと、
……目が、合った。
__正確には丁度、目が開かれた。
相手も驚いてか、
ベッドに頭を置くようにした状態だったけれど
椅子から転げ落ちる。
謝ろうとすると、夏油くんが遮る。
辛そうで、とても自分を責めているようで。
…そんな事はないと、思わせてあげたかった。
その方が、私は嫌と感じるから。
…猫被ってるような、優等生みたいな、
どことなく上から目線っぽい。
そんな、いつもの夏油くんに戻ってほしい。
最後の言葉が聞き取れなくて、
訊ねようとしたら。
扉がガンッと思い切り音を立てて開かれる。
そうしたら、見覚えのある綺麗な白髪が
視界に飛び込んできた。
五条くんが、もしかして
お見舞いに来てくれた…?
そう微笑むと、家入さんは照れくさそうに
「お礼を言われることでは…」と零す。
そんな、場違いな事を考えてるいると。
自分に向けられていないと分かっていても
喉がつんとするような声が耳を通った。
…とてもじゃないけれど、
そんな都合の良い事は聞けない。
……そんな、期待はしていけない。
____まだ、そんな事を考えてしまう
自分の揺れるものには気付かない。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!