恋愛は幸せになれるものと、そうなれないものが存在する。
誰が悪いとかじゃない。ただ報われなかったそれだけだ。
そう話す彼女はどこか寂しそうだった。
時は遡り、5年前。
中学を卒業して間も無い頃。
俺は、あなたの下の名前に出会った。
学年でも「かわいい」と噂があって、高嶺の花のようなあなたの下の名前をやがて好きになった。
振られてもいい。
それでも少しでも、俺を見てほしくて、努力し続けた。
『願うなら幸せになりたい』そんな気持ちもあったけれど、彼女の幸せを願う気持ちが何より強かった。
こんなにも
人を好いて
恋焦がれて
息苦しくて
でもどこが心地よくて
幸せで、
そんな時間が好きだった。
その好きな人が自分なら、どれほど良かっただろう。
この時の俺に、もう希望はなかった。
恋の神様は意地悪だと思った。
好きな人がいるとわかった後に、自分の気持ちを伝えるのはわがままだろうか。
するとどこからか、
ビターチョコレートの匂いが体を包んだ。
彼女は何もかも見透かしているように語った。
人の事をよく見ていて、困っている人がいたら手を差し伸べる。
これが、あなたの下の名前だ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。