MEN side
最初はよく分からなかった
何がそんなに気持ち悪いのか
この人たちが何のことを話しているのか
そう断られた日から、おんりーの様子が変わった
話しかけても会話を続けようとしてくれなかった
心臓がある辺りが、少しぎゅっとなる感じがした
その感じが何なのかは分からないが、とても心地悪かったのは言うまでもない
そして、あの希望に満ちた深緑色の綺麗な光が、彼の目から消えた
クラスの他のやつらが変に気分の悪くなることを言うほど、おんりーの目は黒く暗く濁っていった
だんだんと理解ができた
自然に本を握る手に力が入る
この感じはよく分からない
でも、気分が悪い
この人たちのせいで、おんりーがおんりーじゃなくなっていく
なのに、俺には何もなかったかのように近づいてくる
頭の中で、黒い糸みたいなものが気味悪くぐちゃぐちゃと動いている
____
翌日、教室に入ってきたおんりーの目が少し明るくなっていた気がする
でもハイライトは入っていない
おんりーがこっちを見た
すぐ視線を本に戻す
おんりーが俺をちゃんと見たのは久しぶりだった
おんりーはまっすぐ席に向かって歩き、俺の方を向いた
柔らかい手が肩に優しく触れる
思わず口角が上がった
ここ数十年間、しばらく聞こえなかった自分の鼓動が聞こえた気がした
彼の顔を覗くと、彼は俺を見ていなかった
俺を通り越した、その先の何かを直視したまま固まっていた
みるみる顔が青白く染まっていく
呼吸もはやくなっていっている
第二次世界大戦の戦場にいた自分にとって、これが人間の体において良くないことというのはすぐに分かった
でもどうすればいいかは分からなかった
落ち着いたおんりーを見て、自分の鼓動も落ち着き、やがて聞こえなくなった
おんりーの目はしっかり俺を捉えた
でもいつもみたいな優しいくて落ち着いた目じゃなかった
そう言って彼は離れていってしまった
おんりーの体と心ををだんだん蝕んでいくこの空気
何かわからない
何も感じることができない
それが本当に気持ち悪い
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!