🐬side
実家に帰ってきてから1週間。時間だけが静かに過ぎていく。
家族はみんな外出中で、家には私一人。
静まり返った家の中で、ただテレビの音だけがかすかに響く。
ぼんやりとソファに座り、過ぎた1週間のことを思い返していた。
声が出せない自分。グループに必要とされないかもしれない自分。
胸の奥が、ずっと重いままだった。
ピンポーン
宅配かな、と思って立ち上がり玄関まで向かう。
ガチャ
思わず口にした言葉は、震えてかすれた。
パシンッッ
頬を叩かれる。痛みよりも、胸に迫る驚きの方が大きかった。
ドアを開けた瞬間、そこに立っていたのはジョンウオッパだった。
低く、怒りに満ちた声。
ギュッ
オッパに強く抱きしめられ、体中がぎゅうっと締め付けられる。
泣きそうになる私を、さらにぎゅっと抱きしめる。
オッパの声が、私の背中を震わせる。
胸の奥にずっと閉じ込めていた思いが、一気に押し寄せた。
言葉が出ない。涙が止まらない。
🐺side
あのスタッフの言葉が頭をかすめた瞬間、血の気が引くような衝撃が走った。
一瞬、心臓が止まるかと思った。
カノアはパスポートを自分で持っている。
失踪の理由は分からないが、これならどこか国外にいるはずだ。
考えられる場所は、、実家しかない。
その瞬間、昔のことを思い出す。
以前、コンテンツの撮影でハルトの実家に行ったことがあった。
その時、ふとハルトに聞いた。
ハルトは指を差しながら答えた。
その家はハルトの実家から100メートルほどの距離。
周りの家よりもひときわ大きく、白い三階建て。
その時、無意識にメモアプリに住所を入力していた。
俺は、すぐに動いた。
マネージャーはすぐに理解してくれて、次の日にはパスポートと航空券を俺に渡してくれた。
荷物をまとめ、空港へ向かい、飛行機に乗って韓国から福岡へ。
空港に着くと、すぐにタクシーを捕まえ、運転手にメモアプリを見せた。
ひらがなで入力した住所を画面ごと見せる。
運転手はうなずき、車は福岡の郊外へ向かって走り出す。
道中、心臓はバクバク。手のひらは汗でべとつく。
胸が締め付けられるような緊張感と、見つけられるという希望が入り混じる。
そして、目の前にあの白い三階建てが見えた瞬間、息が止まった。
外の駐車場には車も停まっておらず、家族は不在のようで、静まり返っている。
躊躇せず、玄関に向かう。
ピンポーン
ガチャ
久しぶりに会ったカノアは、少し痩せたように見えた。
肩は少し丸まり、目の奥には疲れが滲んでいる。
それが余計に、俺の胸を締め付けた。
パシンッッ
思わず手が伸びて頬を軽く叩いた。
自然と叫び声が出る。小さく肩を震わせ、目に涙を浮かべる彼女を、俺は抱きしめずにはいられなかった。
俺は思わず額を彼女の頭に押し付け、深く息を吸った。
伝えたいことがあふれていた。
俺の声は震え、涙が自然と溢れた。
久しぶりに会ったカノアの香り、温かさ、そしてそこにいる現実感。
すべてが胸に突き刺さった。
その瞬間、背後から声が聞こえた。
振り返ると、メンバー全員が笑みを浮かべながら立っていた。
するとジフニヒョンが肩をすくめて笑う。
その中、ハルトが目に涙を浮かべながらカノアのそばに寄ってきた。
その声には強さと優しさが混ざっていて、カノアの心は自然と緊張が解ける。
静かに頷き、カノアはハルトの腕の中に帰って行った。
その日は、全員でカノアの実家に泊まった。
久しぶりに俺たちの空間に笑い声が響いた。
みんな自然と笑って、肩の力が抜ける。
改めて思った。俺たちがこうして笑顔でいられるのは、やっぱりカノアがいるからなんだ、って。
翌朝、少し名残惜しさを抱えながら、俺たちは全員で韓国へ戻った。
.....続く
次回、ラストです、!






















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!