第85話

- 声をなくした歌姫 9 -
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2025/11/06 09:00 更新
🐬side


実家に帰ってきてから1週間。時間だけが静かに過ぎていく。


家族はみんな外出中で、家には私一人。
静まり返った家の中で、ただテレビの音だけがかすかに響く。


ぼんやりとソファに座り、過ぎた1週間のことを思い返していた。
声が出せない自分。グループに必要とされないかもしれない自分。


胸の奥が、ずっと重いままだった。



ピンポーン



宅配かな、と思って立ち上がり玄関まで向かう。



ガチャ


 𝘶
𝘶
ッ、、なんで、、!!


思わず口にした言葉は、震えてかすれた。



パシンッッ



頬を叩かれる。痛みよりも、胸に迫る驚きの方が大きかった。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
ふざけるな!!!!


ドアを開けた瞬間、そこに立っていたのはジョンウオッパだった。


低く、怒りに満ちた声。



ギュッ



オッパに強く抱きしめられ、体中がぎゅうっと締め付けられる。

泣きそうになる私を、さらにぎゅっと抱きしめる。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
なに、勝手に居なくなって、、カトクも消して、電話も繋がらなくて、、ルトに聞いてもわからないって言うし、、どんだけ心配したと思ってんの!!!


オッパの声が、私の背中を震わせる。

胸の奥にずっと閉じ込めていた思いが、一気に押し寄せた。

言葉が出ない。涙が止まらない。










🐺side


あのスタッフの言葉が頭をかすめた瞬間、血の気が引くような衝撃が走った。

 𝘴𝘵
𝘴𝘵
あ、ジョンウさん。カノアさんにパスポート返すように言ってもらえますか?この前、出国した時にカノアさんの分だけ回収し忘れて。


一瞬、心臓が止まるかと思った。



カノアはパスポートを自分で持っている。



失踪の理由は分からないが、これならどこか国外にいるはずだ。

考えられる場所は、、実家しかない。





その瞬間、昔のことを思い出す。
以前、コンテンツの撮影でハルトの実家に行ったことがあった。


その時、ふとハルトに聞いた。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
ルト。あなたの実家ってどこ?


ハルトは指を差しながら答えた。

 𝘩𝘳
𝘩𝘳
あそこの白のでっっかい家。


その家はハルトの実家から100メートルほどの距離。

周りの家よりもひときわ大きく、白い三階建て。

 𝘩𝘳
𝘩𝘳
まぁ俺、あの家は玄関までしか入ったことないけど。


その時、無意識にメモアプリに住所を入力していた。






俺は、すぐに動いた。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
もしかしたら、あなたのいる場所がわかったかもしれません。なので、パスポートをください。


マネージャーはすぐに理解してくれて、次の日にはパスポートと航空券を俺に渡してくれた。


荷物をまとめ、空港へ向かい、飛行機に乗って韓国から福岡へ。





空港に着くと、すぐにタクシーを捕まえ、運転手にメモアプリを見せた。
ひらがなで入力した住所を画面ごと見せる。

運転手はうなずき、車は福岡の郊外へ向かって走り出す。
道中、心臓はバクバク。手のひらは汗でべとつく。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
本当に、ここにいるのかな、、


胸が締め付けられるような緊張感と、見つけられるという希望が入り混じる。
そして、目の前にあの白い三階建てが見えた瞬間、息が止まった。


外の駐車場には車も停まっておらず、家族は不在のようで、静まり返っている。


躊躇せず、玄関に向かう。



ピンポーン



ガチャ


 𝘶
𝘶
ッ、、なんで、、!!


久しぶりに会ったカノアは、少し痩せたように見えた。
肩は少し丸まり、目の奥には疲れが滲んでいる。


それが余計に、俺の胸を締め付けた。



パシンッッ


 𝘫𝘸
𝘫𝘸
ふざけるな!!!!


思わず手が伸びて頬を軽く叩いた。
自然と叫び声が出る。小さく肩を震わせ、目に涙を浮かべる彼女を、俺は抱きしめずにはいられなかった。



俺は思わず額を彼女の頭に押し付け、深く息を吸った。


伝えたいことがあふれていた。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
あなたがいなきゃ、、、KANOAがいなきゃ、、TREASUREはTREASUREじゃない。TREASUREにはあなたが必要なんだよ。


俺の声は震え、涙が自然と溢れた。

久しぶりに会ったカノアの香り、温かさ、そしてそこにいる現実感。


すべてが胸に突き刺さった。






その瞬間、背後から声が聞こえた。

 ?
なに抜かがけしてんだよ〜ㅋㅋㅋ


振り返ると、メンバー全員が笑みを浮かべながら立っていた。

 𝘫𝘸
𝘫𝘸
何でみんな、ここに、?


するとジフニヒョンが肩をすくめて笑う。

 𝘫𝘩
𝘫𝘩
ジョンファンから、お前が荷造りしてるって聞いて。マネージャー問い詰めたら、福岡に行くって言うから、、全員、仕事ブッチしてきた。
 𝘩𝘴
𝘩𝘴
ブッチはしてないけど、あ、したメンバーもいるけど、影響がない程度に、、ね。
 𝘶
𝘶
みんな、、グスッ
 𝘫𝘩
𝘫𝘩
も〜!泣かないでよ!!
 𝘥𝘺
𝘥𝘺
プリンセスはプリンスの前でしか泣いちゃダメなんだよ?
 𝘶
𝘶
みんな、私のプリンスでしょ、、グスッ
 𝘫𝘩
𝘫𝘩
あなたは、俺だけのプリンセスだろ。
 𝘺𝘴
𝘺𝘴
いや、俺のプリンセス!!
 𝘫𝘩
𝘫𝘩
どうでもいいんだけどㅎ


その中、ハルトが目に涙を浮かべながらカノアのそばに寄ってきた。

 𝘩𝘳
𝘩𝘳
、、、帰ろっか、。


その声には強さと優しさが混ざっていて、カノアの心は自然と緊張が解ける。

静かに頷き、カノアはハルトの腕の中に帰って行った。





その日は、全員でカノアの実家に泊まった。


久しぶりに俺たちの空間に笑い声が響いた。
みんな自然と笑って、肩の力が抜ける。


改めて思った。俺たちがこうして笑顔でいられるのは、やっぱりカノアがいるからなんだ、って。





翌朝、少し名残惜しさを抱えながら、俺たちは全員で韓国へ戻った。





.....続く


次回、ラストです、!




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