第140話

【大西風雅】おやすみ(R)
9,610
2021/08/27 12:00




『……』



「…なに、」



『…別に何も、?』



「こっち見すぎ、」



私のツンデレ彼氏くん、大西風雅には誰にも言えない秘密がある。
それは、

疲れたときや眠いとき、甘えんぼになること。

学校や友達の前では、私を冷たくあしらって友達からは本当に付き合ってるの?と言われるレベルなのに。













「…あなた、まだ寝やんの?」



『んー、そろそろ寝よかなー』



「ふーん」



『風雅も寝る?』



「ん、ねる」



眠い時の風雅の癖は、
話し方がゆっくりになること。

あー眠いんだろうな…私もだけど。



『布団敷くから手伝って』



「いらん、」



『いるでしょ』



押し入れから布団を取り出そうとすると
その手を止められ、逆に掴まれてベッドに押し倒された。



「いっしょにねよ、」



眠くてもやっぱり彼は男の子。
風雅に掴まれたら全然動けなくなって、されるがままに向かい合わせでベッドに横になる。

ベッドサイドにあるリモコンで電気を消されて真っ暗な部屋。

や、顔近くないか…?

抱き締められてて、顔は数センチしか離れてなくて、ドキドキが止まんない。

暗いのに、緊張で目が冴えてるから鮮明に見える。



「……ん?」



『起こしちゃった?ごめ、』



「…あ、せや……おやすみのちゅーしてへんなぁ…」



『っ、別にいらない、し』



「おれには必要。ん、」



吸い込まれるように唇が合わさって。
一回顔が離れて終わったかと思えば次はちゅっちゅと軽く、何回もキスされる。



「…ふは、まぬけがお、かわい」



『まぬけっ、!』



悪口なのか褒め言葉なのか、でも風雅から発されたかわいいという言葉はとてつもなく嬉しくて。



「ん?もっとしたいん?」



『や、もう寝よーかと…』



「遠慮せんでえーのに…。」



っ、かんっぜんに甘えんぼモードだ、風雅…

こうなったら風雅は何も聞いてくれないし、言い換えるとわがままモード。



「はぁ…んむ、」



『、!?』



唇に吸い付くようにキスして来る風雅。
ときどき舌で下唇をなぞられる。
そうしてるうちに、息が持たなくなってきてすぅっと息を吸い込む。

風雅がその一瞬、口が開いた瞬間に舌を入れてきた。



『んぅ、、、っ』



「んー…っちゅ、ぅ……」



歯列をなぞられたり、舌を吸われたり。
唾液が絡まる水音が私の息をより荒くさせていた。



『おと、いや、っ!……』



こーしたるほーひはふ



やめてくれると思えば、風雅くんは手で耳を覆ってきた。
こうされるのが、1番嫌い。

くちゅくちゅとした水音が脳内に直接響くような感覚。



キスだけなのに、こんなに熱くなってるなんて…。



「……はぁ、…ん、」



その音から解放されたあと、風雅はもう一度軽く口付けをした。



「…んは、かわい……」



『……ふうがの、せいだもん…』



顔が、身体が、熱くて仕方がない。



「ん、そろそろねよか、」



『……ん』



「おやすみ、あなた。」



抱きしめられながら寝ると、
安心感がすごくて…。

そして改めて思うのは、
風雅のキスには魔法の力がある、ってこと。





















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