「紫耀いつも俺と食べてるけど、いいの?仲いい友達とか…」
不意にそう思って聞いてみた。
紫耀は他にも仲のいい友達がいるだろうし、
俺と毎日食べてていいのかなって。
疑問もあったけど、少し不安もあった。
俺といることで他の人との時間が取れてないんじゃって。
「だって1番仲良いの海人だし。それに俺この時間好きだから。」
真剣な顔で。
でも少し照れくさそうな顔で。
優しく包み込むような声で言ってくれた。
そんな真っ直ぐ言われたら、照れるって。
嬉しいし、良かったって思えたし、なにより照れくさかった。
「なんで照れてんの笑」
そりゃ照れるでしょ。照れちゃうよ。
顔を覗き込むかのように目を見て言われたら照れるよ。
しかもそんな整った顔でさ。
綺麗な顔で。かっこいい顔で言われたら照れるよ。
「照れさせたのそっちだから笑」
そう言った。
俺はなかなか笑わない。
まず、人に感情をさらけ出さない。
でも紫耀は違う。
紫耀の前なら笑えるし、泣けるし、驚ける。
紫耀にはさらけ出せる。
素のままの俺を紫耀には見せれる。
「紫耀割り箸持ってない!?」
後ろから女の人の声が聞こえた。
呼び捨てしてるってことは友達?
いや、彼女…?
そりゃ居るよね。
モテそうだもん。
かっこいいし優しいし天然なところもあって運動もできてモテ要素ばっかだもん。
納得しつつも心の中では
彼女いるんだ… やだな、 と
感じたことのない気持ちがあった。
俺にとって紫耀は1番で、
紫耀にとっても俺が1番だと思ってた。
でも彼女ってなったら、
彼女が1番。俺が2番。
そうなるんだろうな。
モヤモヤして、でも言えなくて。
感じたことの無い気持ちで、どう言葉に表せばいいのか分からない。
でも2人は楽しそうに話してて。
2人には俺が見えてないように見えた。
2人の世界に入ってるような気がした。
さっきまで話してた紫耀でさえ、
俺の方を見ない。
明日から夏休みなのに。
しばらく会って話せないから、今日は長く話せると思ったのに。
俺はまだ中身の入っている弁当箱の蓋を閉めて
その場を去った。
海人!
そんな声が聞こえても、止まることは無かった。
止まれない。止まりたくない。
見たくない。聞きたくない。
なんでかは分からないけどそう思った。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!