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第23話

20.眠気なんて
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2024/07/11 10:00 更新

結局、「女子優先にしよう」という遊児の言葉から、谷地とあなたが一緒にお風呂に入り、健全な男子高校生のために、妹の後に兄が入ることになった。

「えっーと、影山とツッキーと山口は俺のでいいか?パジャマ。日向はあなたの借りてくれるかー」

「ありがとうございます。あとツッキーって呼ばないでください」

自分の兄とは少し毛色の違うあなたの兄にまだ慣れない様子の月島だったが、しっか反論するあたりもう本調子なのだろう。

日向はあなたから借りるという事実にクラッシュしそうになったが、影山にガンを飛ばされたため何とか持ちこたえた。

「俺は自分の部屋で寝るけど、男子4人はリビングでいい?仁花ちゃんはあなたの部屋で」

「シャッチ!っ」

こちらは、まだ遊児に慣れないようだ。風呂上がりの遊児は、髪が降りて"お兄さん味"が増しているからである。


あなたは自分の部屋から服を引っ張り出してきて、谷地には中学時代すぐ小さくなってしまったパジャマを、日向には中学1年の時に着ていたジャージを手渡した。


『仁花ちょっとぶかぶかで可愛い彼シャツみたいやばい』

早口で言うあなたに、少し照れ笑いする谷地は、お礼をしてあなたについていった。


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p.m.9:45

外は先程にもまして雷が光り、近くで鳴り響いていた。

照島家リビングでは、烏野高校男子バレー部の1年が、4枚の敷布団を並べ眠りに入ろうとしていた。


「あなたの中学、難しい字書くんだなー」

あなたのジャージをまじまじの見て、日向はそう言った。

「ところで、影山と照島さんって何で元々知り合いだったの?」

眠れない4人の話題はあなたになっていた。

「大会でバレーシューズ貸したからだ。中学ん時」

バレーシューズを貸す?3人の頭にははてなマークが浮かんだ。大会でトイレや廊下でしかすれ違わない異性のプレーヤーにシューズを貸す確率はほぼゼロに等しいからだ。

「王様がバレーシューズを?女子に?」

「オイ!!......中二の時だ。そっから一緒にバレーするようになった。って言ってもお互いセッターだったから、どっちがトスあげるかでよく揉めたな」

「何か想像できるな〜影山と照島さん」

ふむふむと頷く日向は、不意に「あなたの匂いがする」と呟いた。

「俺もだ」と真剣に答える影山に、「当たり前でしょ、お兄さんも同じ柔軟剤使ってるんだから」と月島は急いでツッコミをいれた。

「照島さんの家でする話じゃないと思うけど、いい匂いするよね」

なんの恥ずかしげもなく言う山口に呆れた様子の月島は「僕もう寝るから」と1人だけテレビがある部屋の方を向いた。

何せ、自分が着ている衣類からあなたの匂いがすると意識してしまったからである。
この4人の中で、普段いちばん物理的に距離が近いのは月島なのだ。少し落ち着かないのも当然である。

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