第45話

調査続行 後半フルーレside
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2024/09/19 10:48 更新
僕達が来ることは現当主に伝えてあるそうだが、屋敷前に居る門番達に確認のため引き止められる。
直後、屋敷の二階から一が響いた。
門番曰く、音がした方には現当主の部屋があるらしい。
コウモリ(ゴーレム)
『先に行く』
リナリー
私も行くわ。アレンくんは皆をお願い
アレン
は、はいっ
ファインダー達を置いて僕とリナリーは門番の真上を飛び込み、二階のバルコニーへと素早く移動した。
バルコニーのドアは換気の為か開いており、部屋の中に入ることが出来た。部屋には白髭を生やした老人が棚上に敷かれた布を掴んで床に倒れていて、棚に飾られていただろう壺が幾つか床に落ちて割れている。
老人の傍には車椅子が置いてあり、状況から察するに車椅子から落ちたのだと分かる。
布は転んだ際に咄嗟に掴んでしまったのだろう。
あなた
(この老人が現当主か)
リナリーが現当主の傍に駆け寄れば、「だ、誰だ……」と聞いてくるので、「こんな場所から失礼します。黒の教団です」とリナリーが簡単に挨拶を済ます。
現当主に怪我がないか確認した後、リナリーに話し相手を任せ、何故倒れていたのかを尋ねた。
現当主は立てない訳では無いが足腰が悪く、日常的に車椅子を使用しているのだとか。
そして、自分で車椅子に座ろうとしたものの、上手く座れずに重心が前にきてしまい、床に転んでしまったのだという。
あなた
(襲われた訳では無い、か)
他の皆も屋敷へ通してもらい、談話室へと集まって暫くすると「父上!」と言一人の若い男性がやって来た。
貴族2
部屋で倒れていたと聞きましたが、お怪我は……!?
貴族1
いいや、ないよ。まだちょっと、足腰が痛いが……。やれやれ。私も歳をとったな
現当主が次期当主であり、明後日結婚するという息子の紹介をすると、息子は警戒の眼差しをこちらに向けた。
貴族2
父上、こちらの者達は……?
貴族1
あぁ。なんでも黒の教団だとか
貴族2
何?黒の教団ですって!?聞いたことがある……
貴族1
かの有名な黒の教団から使者が送られてくるとは聞いたが、派遣されたのがまさかこんな子供達だとはね。少し驚いたよ
貴族2
本当に大丈夫なのか……?
貴族1
まぁまぁ。して、君達は我が家の宝について調査がしたいそうだな
ファインダーの男とリナリー達とで話が始まり、僕は静かに会話に耳を傾ける。
ネックレスに関しての噂は事前に聞いた通り。
現当主である父親はネックレスにまつわる噂を多少信じているようだが、息子は真逆。
噂がデタラメであると証明する為、花嫁を一族の一人として迎える為、披露宴でネックレスを贈る予定だと言う。とはいえ、家宝なので式が終われば預かり、保管するようだ。
あなた
(ひとまず、ネックレスを特別に見せてもらえることになったが……)
運ばれて来た小さな箱が開かれれば、中には宝石が散りばめられた煌びやかな銀のネックレスが入っていた。中心にはエメラルド色の楕円形の宝石が嵌め込まれている。ネックレスを見た瞬間、現当主が何処と無く沈んだ顔をした。
リナリー
うーん。見た目だけじゃあやっぱり分からないわね……
貴族2
あの黒の教団の使者が何しに来たかと思えば、例の噂を本気で信じている訳じゃないだろうな?教団が何を目的に調査しに来たかは知らないが、噂の真相を確かめるつもりなら無駄だ。これはただのネックレスであり、守るべき我が一族の宝。これ以上胡散臭いオカルト集団に付き合っている暇は無い。僕達は明後日の式の準備で忙しいんだ。早く出て行ってくれ!
ピリついた空気が流れ始め、僕は溜め息をついた。次期当主と話す気は無かったが、このままでは埒が明かないので僕はゴーレムを使って会話をする事にした。
コウモリ(ゴーレム)
『……それもそうだな。非現実的な噂話に流されない現実的思考は大事だ。僕も貴方の立場なら信じることは無いだろう』
ゴーレムから声が流れれば、貴族親子はギョッとした顔をする。そんな彼等をスルーし、僕は言葉を続けた。
コウモリ(ゴーレム)
『だが、こちらも仕事だ。貴方に協力して欲しいことがある。収穫が無ければ、我々は引き返そう』
貴族2
何……?
コウモリ(ゴーレム)
『今からやることは調査の一貫だ。家宝である大事なネックレスを部外者の僕達がつける訳にもいきませんし、現当主は足腰を悪くされているようですから貴方にこのネックレスを付けて壁の前に立って欲しい。そこで果たして調査が無駄か否か分かるはずです』
貴族2
何だと?
コウモリ(ゴーレム)
『僕達を早く追い出したいのなら、手っ取り早く済ませましょう。その方がお互いの為だと思いませんか?生憎ですが、我々も貴方同様こう見えて多忙の身ですので』
僕がそこまで言うと、次期当主は物言いたげな顔をしながら渋々ネックレスを自分の首につけ、壁の前に立った。僕が右手の手袋をさり気取っていると、リナリーやウォーカー、ファインダー達が「何をする気なんだ?」という不安気な顔でこちらを見つめてくる。
取った手袋を団服のポケットに入れた後、僕は右の拳で次期当主の顔面横を狙い、壁を殴った。
拳は僅かに次期当主の顔横をかすり、部屋にドンッ!!という衝撃音が響く。
貴族2
な……なんっ……!?
全員が驚きポカンとしている最中、次期当主は口をパクパクさせ硬直している。
あなた
(加減はしたから壁にビビは……無いな。良かった)
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フルーレside

────────宿にて。
フルーレ
(さっきはびっくりしたなぁ……)
先程、貴族の屋敷にいた俺達は主様の意外な一面を見てしまった
フルーレ
(まさか主様が次期当主を言葉で誘導してあんな手荒い真似をするなんて……。次期当主の発言にちょっとムッときてたからスッキリしたけど俺達の世界でやったらアウトだよね……)
主様曰く、“あらゆる災いから守るという噂の通りならば、ネックレスが今の拳からも守ってくれたはずだ”とのこと。
しかし、主様の拳は僅かに次期当主の頬をかすった。つまり、“加護の力は働かなかった”。
その事に次期当主は「当然だ!今ので分かっただろう!」と怒っていたが、現当主は何処か驚いた様子だった。
去り際、アレンが「やっぱり無駄だったんですかね……?」と弱気になると、主様は「……いや、無駄ではなかったようだ」と言って黙ってしまった。そして──────────現在。
アレン
うーん……あなたはあぁ言ってましたが今回は不発かなぁ?
宿で食事をしながらアレンが残念そうにすると、リナリーが「どうかしらね……。加護の力の発動条件が変わったのかもしれないし、あなたがエクソシストだから力が発揮されなかった可能性もあるし……。とにかく、情報が少ないのよね」と苦笑いする。
フルーレ
(なるほど、そのパターンもあるのか……)
ベリアン
ところで、あなたさんの姿が見当たらないのですが……一体どちらに?
ベリアンさんが辺りを見回すと、リナリーが「あなたならさっき“出かける”と言って何処か行っちゃったわ」と答える。
アレン
もう夜なのに何処に行ったんですかね。あなたなら一人でも大丈夫だと思いますが、あなたの考えることは分かりませんね。いきなり突拍子もないことし出すし……もぐもぐ……
リナリー
ふふ。あなたは昔からああよ。幼馴染の私でさえ未だに分からないもの。だからこそ、あなたが狡いって思うこともあるけど……
全員
え?
リナリーの言葉に俺達が反応すると、リナリーは「ううん、なんでもない」と笑顔で誤魔化した。
フルーレ
(どういう意味なんだろう……)
俺達が起きている間に主様が帰ってくることはなく、俺達は先に眠ることにした。
そして、いつも通り元の世界で目を覚まし、夜になって眠れば夢の世界で目を覚ます。
不思議と身体に疲れは残っておらず、今の所眠気もない。
男性ファインダーから調査の続きを行う、と言われて急いで支度を済ました後は、宿の外でアレンやリナリーと合流する。けれど主様とイトの姿は無い。
ハナマル
あれ?イトとあなたは?
フルーレ
(ハナマルさん、夢の世界だからって主様のこと呼び捨てですか……)
男性1
お二人は何やら“準備があるから”と先に調査場所へ向かいました。我々も今から合流します
テディ
調査場所って……何処ですか?
テディさんが尋ねると、男性ファインダーは「実は、印のついた地図だけ渡されまして……。自分もどういった場所までかは……」と困った顔をする。
リナリー
あなたらしいわね……
アレン
とりあえず、行ってみれば分かるでしょうし早く出発しますか。で……どの道を進めば?
男性1
はい、案内致します
男性ファインダーの後について行き、暫くすると調査を行う場所に着く。そこがどんな場所かを知った俺達は目を丸くして立ち止まった。
リナリー
ここって……お墓、よね?
アレン
お墓で調査……?何故?そもそも、あなたがここを調査場所に決めた理由も分からないし……
主様が何を考えて居るのか、リナリー達も俺達にも分からず立ち尽くしていると、「皆さんおはようございます!」とイトが挨拶しながらこちらに走ってくる。
イト
使徒さまならあちらでお待ちです
イトに案内されて辿り着いたのは、誰かの墓の前。傍には主様が静かに佇んでいた。
アレン
おはようございます、あなた。ここで何を調査するんですか?それに、このお墓って誰の……
アレンが墓石を確認すれば、そこにはあの貴族親子と同じ姓で女性の名が掘られてあった。隣には、同じ姓の男性の名が掘られたお墓が。
イト
このお墓は現当主の両親のお墓だそうです。次期当主からすれば、父方の祖父母にあたります
ロノ
何故こんな場所を知って……。というか、これが調査となんの関係があるんです?
ロノが疑問を抱くのも無理はない。何なら、ロノだけでなく俺達もよく分かっていない。
祖父母のお墓が今回の任務と何か関係あるのだろうか。
コウモリ(ゴーレム)
『……そこにシャベルを用意した』
全員
シャベル?
真横に立つ木に視線を向ければ、シャベルが幾つか用意されていた。
コウモリ(ゴーレム)
『今から、祖母の墓を掘り返すぞ』
フルーレ
(……え?)
全員
えぇええええ!?

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