第5話

意外な素顔
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2026/08/29 10:00 更新
クラスメイト
小川!ナイスシュート!
体育の授業、男子の種目はバスケットボールだった。

コートの中を縦横無尽に駆け回る小川は、小柄な身体からは想像もつかないほど運動神経が抜群だった。

軽やかなフットワークで相手を抜き去り、麗なフォームでシュートを決めていく。
小川薫
小川薫
へへ、どうよ縁くん!
ハイタッチを求めて手を差し出してくる小川。

パンと手を打ち合わせると、汗ばんだ小川の手はやっぱり驚くほど小さくて華奢だった。
周りの男子からも歓声が上がる。

コートで弾けるような笑顔を見せる小川は、どこからどう見てもクラスの頼もしい人気者だ。
やがて授業終了のチャイムが鳴り、みんな一斉に男子更衣室へ向かう。

汗をかいたTシャツを脱ぎ始める男子生徒たちの中で、小川だけがその場に立ち尽くしていた。
小川薫
小川薫
あ、みんな先行ってて!僕、ちょっと着替え遅いから、後で一人で着替えるよ
クラスメイト
なんだよ小川、遠慮すんなって!
男子生徒の一人が小川の肩を抱こうと手を伸ばした瞬間、小川はびくっと身体を強張らせて後退りした。
小川薫
小川薫
だ、ダメ!ほんとに一人でいいから!
普段の余裕ある態度とは違う、あからさまな動揺。

その場が一瞬気まずい空気に包まれそうになり、俺は咄嗟に割り込んだ。
霧島縁
霧島縁
おい、小川が一人でいいって言ってるんだから無理強いすんなよ。行こうぜ
クラスメイト
あ......うん、そうだな。じゃあ先行くわ!
男子たちが去り、体育館の脇の更衣室前に小川と俺の二人だけが残された。
小川薫
小川薫
....ありがと、縁くん
ホッとしたように息を吐く小川の顔は、どこか青ざめているように見えた。

なぜそこまで一緒に着替えるのを拒むのか。

男同士なら汗を流して着替えるくらい、何の不思議もないはずなのに。
小川薫
小川薫
あ、僕そろそろ着替えるね!縁くんも先行ってて!
小川は慌てたように更衣室へ駆け込み、カチャリと内側から鍵をかけた。
取り残された俺は、ベンチの横に置かれた小川の通学バッグに目をやった。

慌てて走っていったせいか、バッグのファスナーが半分開いている。
その隙間から、ちらりと中身が見えていた。

男子が持つような無骨なタオルやハンカチじゃない。

白地に淡いピンクの花柄が刺繍された、上品で可愛らしいレディースのハンカチ。
霧島縁
霧島縁
(やっぱり.....)
俺の胸の中で、疑惑が大きな確信へと変わり始めていた
鍵のかかった更衣室の扉を見つめながら、俺は強く握りしめた自分の手を見つめた。

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