僕は…全てが…何もかも遅いんだ。
なぜ気づかなかったんだ…。
だけど、彼女へこの想いは伝えられない。
だって…っ
あの、琥珀のように透き通る綺麗な世界に君はいるのだろうか…。
もう、今じゃ、戦争とかいう戦いはないんだろうな。
そして、どこもかしこも「ヒト」だらけなのだろう。
そんな中に君はいるかい…?
僕、君のことが好きだよ。
でももう伝えることはできないのかな…。
僕は空を見上げていると、1羽の小鳥が大木に止まった。
「ちゅん」と鳴いて、飛び立っていった。
そんな時だった。
“人間の声”が聞こえた。
人間がここに来ることはなかった。
何故だ…
そして、声がする方をずっと向いていると、1人の男がやってきた。
頭にはタオルを巻いていて、手には…
名前は知らないが、手には見る方に“凶器”を持っていた。
鋭い刃がこちらを向いている。
そうして見上げた先は──僕だ。
男はもう一度息を吐き、その鋭い刃が付いている機械のようなものを動かした。
だけど、僕が聞こえてる音は機械音ではなく、僕の心臓の音だった。
怖い
今から何をされるか分からない。
とても怖い
誰か
嫌だよ
怖い
怖い
恐怖心だけが僕の感情を支配する。
今からそれで僕は“死ぬの”?
そうして、男はその凶器を、僕の心臓を貫いた。
痛い…
痛いってこういうことなんだ。
あぁ…僕の身体が切られていく。
そこで僕は確信した。
もう死ぬんだ。
悲しい。
痛い。
そんな感情が込み上げてきたが、“生きていたい”とも思わなかった。
涙が頬を伝う。
何故だか、望んでもいない死に方で、痛い思いをしているというのに、最後の最後まで頭に残るものは
“君”だった。
そして脆い身体は、地面へと崩れ落ちていった。
その時は…
──人間でありますように。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。