第42話

# 38 最適解
350
2025/09/13 11:00 更新

あなたside


あなた「あーも。最悪だった…」



凛に引っ張られて一緒にゲートをくぐったはいいが、

フィールドの点検をしてなかったことで絵心さんから

こってりしぼられてしまった。


いやもう、あれ凛が悪いでしょ。後で文句言わなきゃ。

絵心さん、ネチネチしててめんどくさいんだから。





今私はチームの控え室に向かっているところ。

さっきスマートフォンで連絡が来ていたが、2人とも早速

サポートの指名が来たらしい。なんと、合計で7件は

来たんだとか。
ちなみに指名が来たら、スマートフォンに通知が来る

らしいが、私にはさっぱり来ていない。

3位っていうだけ不利だなぁ。

んーでも、順位って変動しなさそうだよね。

私の価値を上げるにはどうしたらいいんだろ。


うーん…


          






           ドンッ















ぼけーっと考え事をして歩いてしまっていたからか、

誰かにぶつかってしまった。



あなた「いた…え、あ、あの!ごめんなさい!」



慌てて頭を下げる。顔をあげた瞬間、お互いの時が

止まったような気がした。



私を見つめていたのは、あのとき別れて以来、会って

いなかった、彼______________



千切「あなた…?」



あなた「千切君…」



千切豹馬君だった…
糸師凛side



あなたが放つ耀きに、ずっと魅せられていた。



瑠璃の瞳は、まるで自分が主役だと言ってやまない、

エゴイストの瞳。黒髪は、いつも艶やかで風に舞って

いた。はしゃいで煩いわけではない。かと言って静か

すぎるわけではない。


普通の少女。だが。蓋を開ければエゴイスト。


その耀きを理解できるのは一部の人間のみ。



そんな光を持つあなたに魅せられて、いつのまにか

恋していた。サッカーにしか、興味がなかったはずの

俺が。恋に堕ちていた。




フィジカルスタジオでダウンが終わった後、

壁によりかかりながら、昔のあいつあなたを思い浮かべる。



幼いながらも必死で考えるあなた。無邪気に笑うあなた。

ぼけーっとしているあなた。
その全てが、美しく見えていた。



凛「なのに…」



再開したあなたには、エゴイストの面影は一切消え、

その瞳には大きな闇が巣食っていた。



誰がお前の瞳を濁らせた?誰がお前を傷つけた?

誰がお前の瞳から涙をこぼさせた?




そんな思いが溢れてくる。



ただあなたに聞いても教えてはくれないだろう。

心配かけたくない、もう過去のことだから平気。


そんな言葉で、回答で俺の疑問を拭おうとしてくるに

違いない。



凛「許さない…」



あなたを傷つけたやつを、あなたの瞳の輝きを奪った

やつを、そして










       
















      全てを隠して笑うあなたも




凛「絶対に許さない」


糸師凛side end.
あなたside



あなた「千切君…」



千切「あなた…」



少し気まずい空気が流れるが、その空気を壊すように

私は笑顔を作った。



あなた「やっほ、千切君。こんなとこでどうしたの?」



千切「え、あ」



戸惑う千切君。もしかしたら、少しプライベートな内容

だったのかもしれない。なんか申し訳ないな。



あなた「ごめん、変なこと聞いちゃって。私行く…」



千切「あなたを、探してた」



時が止まる。



あなた「私…?」



千切「あなた、俺たちのチームのサポートってやってもらえるか…?」



あなた「でも、私、指名1件も入ってないんだよ?私でいいの?」



千切「あれ?お前、知らないのか?監査員役を務めたアナリストはその1日、指名の予約が受け付けられないってルールなんだぜ?」



え、えぇ… ⁈


じゃあ私、勝手に自分で落ち込んで、拍子抜けしてた

ってこと?ちょっとおバカすぎない、私…



へなへなと力が抜けていくことが分かる。

なんと、私はその場にしゃがみ込んでしまった。

まるでしなしなになったホウレンソウの気分。



千切「おい、大丈夫か…?」



あなた「うん、大丈夫。ちょっと力が抜けただけ」



ちょっと笑ってみせる。弱々しい笑顔だったかも

しれないけど。



千切「…ん」



千切君が、私に手を差し伸べてくれている。

もしかしたら心配かけてしまったのかもしれない。



少し躊躇ったが私は、そっと手を取って立ち上がった。



あなた「ちなみに千切君のチームメイトって誰なの?」



千切君はちょっと苦い顔をしながら教えてくれた。



千切「俺と、國神と…玲王」



玲王。凪と別れて、ひとりぼっちになったところを

あの2人に拾われたのかな。だとしたら、なんか

嫌な予感がする。



千切「國神と俺は、先に行った潔を。玲王は凪をぶっ潰したい」



嗚呼、予感が。的中してしまう。



千切「なあ、あなた。俺たちに、力を貸してほしい。潔と凪あいつらに勝つ方法を、教えてくれないか?」

アナリストの部屋は男子部屋、女子部屋と別れている。

選手たちはチームメイトと同じ部屋らしいのだが、

アナリストの場合私たちのような男女混合チームもある

のでこのようなシステムとなった。


ちなみに、2人部屋となっており、私の相方はゆのちゃん

だった。知人で何よりである。



あなた「…」



『先に行った潔と、凪をぶっ潰したい。あなた、

あいつらに勝つために協力してくれないか?』

心がどうしようもなく苦しかった。もし協力すれば、

私は間接的に潔君たちを青い監獄ブルーロックから脱落させてしまう

ことになる。彼らのサッカー人生にピリオドを、私が

打ってしまうことになるかもしれない。

あんな輝かしい才能達を、私がこの手で潰すなんて。

あのとき、私はショックが大きすぎて、どうやってこの

部屋まで帰ってきたのかさえ、記憶にない。


でも千切君たちが私を指名する限り私は彼らのサポート

をしなければならない。



私は、どうするべき…?


そのとき、スーッと部屋の扉が開く。



ゆの「あれあなたちゃん、もう帰ってたんだ?」



ゆのちゃんが、部屋に戻ってきたみたいだった。



あなた「え、あ、うん…」



ゆのちゃんはブルーロックのジャージを着て、首に

タオルを巻いていた。多分お風呂上がりなのだろう。

頬が、少しだけ桃色に染まっている。



ゆの「なんか、あった?」



遠慮がちだが、はっきりと聞こえた。



あなた「え?」



ゆの「なんかすごく思い悩んでそうだったから。もしよければ、話聞こうか?」



あなた「お願い」



ゆの「ふーん、なるほど。潔君側に着くか千切君側に着くかで迷ってるのねぇ…」



少し時間がかかってしまったけれど今までの出来事を

全て話すことができた。



あなた「潔君はチームZの頃の大切な仲間だし、かと言って千切君も同じくらい大切だし。それで」



ゆの「あのさぁ、何甘ったるいこと言ってんの?」



あなた「…へ…」



ゆの「今のあなたちゃんを見てると、本当にアナリストTOP3なのかちょっと疑問に思っちゃう」



あまりの言われようにちょっと腹が立つ。



あなた「じゃ、じゃあゆのちゃんだったらどっち側に着くの…?」



ゆの「千切君側一択。かつての仲間なんて、もう今の仲間じゃない。私は、私を選んだ人間を絶対に後悔させない。そう思ってる」



その瞳にはまるでエゴの炎が燃え盛ってるよう。



ゆの「後さ、あなたちゃん、潔君達が次、どこのチームと対戦するか知ってる?」



え、潔君達、もう次の対戦相手が決まったの…?

私は無言で首を振る。



ゆの「馬狼君と成早君のチームだよ」



私は頭が真っ白になる。成早君といえば、チームZの

大切な仲間で…。どうか、嘘であってほしいと、

聞き間違いであってほしいと不覚にも祈ってしまう。



しかし、現実は残酷だった。

ゆのちゃんがタブレットで見せてくれた試合予定表には

確かに彼らの名前が書かれていた。



あなた「ほんとだ…」



ゆの「かつての“仲間”の蹴落とし合いはもうすでに始まってる。あなたちゃん、出遅れちゃって、そのまま脱落しちゃうかもよ?」



あなた「…」



どうしたら、いいの。最適解は、どこ…。



ゆの「まあ最終的に決めるのはあなたちゃんだし、ゆっくり考えたら?」



キツいこと言っちゃってごめんね。



そう言うと、ゆのちゃんは私に背を向け、自分のことを

やり始めた。


沈黙が訪れた。



あなた「…だよね



ゆの「え?」



あなた「ううん。ありがとうゆのちゃん。おかげで心定まった」



ゆの「おぉ…なんか元気になってる。まあ決まったならよかった」



お互い頑張ろうね、とゆのちゃんは私にハイタッチを

求める。勿論、と私も笑顔で応じた。


バシッと響き渡る、ハイタッチの音。

また1つ、心が温まった。

翌日の朝。タブレットを見ると朝1番に、千切君のチーム

からの指名が入っていた。その他の時間にも何件かの

指名が入っている。


タブレットでは彼らが予約したも確認できるのだが、

その時間が今日の0:00:03でちょっと笑ってしまった。




あなた「よし」



身支度を済まし、部屋から出る。私の決意を、思いを、

伝えるために。


指定された練習場に着くと、アップが始まっていた。

扉は閉まっているのだが、音で分かる。
私は一息ついて、扉を開け、練習場に足を踏み入れる。



千切「お、あなた!おはよ」



國神「おはよ、あなた」



玲王「おはよ、あなた!よく眠れたか?」



3人が私に笑いかけてくれる。口元に笑みを浮かべた。



千切「で、昨日の件、どうするか決まった?」



3人が少しだけ不安そうな顔でこっちを見てくる。





やだなぁ、そんなカオしないでよ。今からその顔、その

瞳、もっと熱くなるんだからさ。



あなた「…やるからには徹底的に潰す。ちゃんと着いてきてね?」



覚悟はできた。後は実行するだけ。


私の頭の中で、たくさんのアイデアが駆け巡っていた。
aina です!投稿は久しぶりですね、皆様夏休みはいかがでしたかね?aina は学生っぽい夏休みを謳歌しまくりました。そのせいで勉強はあまりですがね…

今回のお話は大ボリュームとなっておりましたがいかがでしたか?ゆのちゃんはこれからも中心人物なのでどうしても登場させたくて…あの2人のシーンで指が止まることはありませんでした笑

これからあなたちゃんの過去も明かされていくので皆様是非お楽しみに!


後、更新がのんびりなのにどんどんおめめの回数が増えて嬉しい限りです。これからもいいねとスポットライト、フォローよろしくお願いいたします。


では次の物語であなたをお待ちしております。

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