次の瞬間
旧校舎の廊下であなたを襲った怪異は自分を祓った存在を認知する間もなく切り裂かれた。
包丁。
ただの調理器具のはずのそれが、恐ろしい刃となって敵を切り刻んだ。
花子の声は、妙に明るかった。
目の前の怪異は答えられない。答える前に“存在を失っていた”。
それでも花子は笑っていた。
口元だけが、いつも通りの形をしている。
けれどその目は、完全に“怒り”だった。
一歩、踏み出す。
次の瞬間
空気が爆ぜた。
その場にいた七不思議の一部すら、一歩後退する。
言葉が続かない。
茜は震えながら見ていた。
そこへ駆け込んできた源光が叫ぶ。
その言葉の途中で、光は気づいてしまった。
いつもの軽い調子の花子ではない。
その小さな呟きだけが、やけに響いた。
花子は振り返らない。
ただ、怪異を見つめたまま言った。
その言葉は優しいのに有無を言わせぬ迫力があった。
光の背筋が凍る。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!