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第52話

51.
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2025/03/07 13:29 更新





”どんなに自分が誰かを信頼していたとしても、相手も私と同じ気持ちとは限らない。”



人の気持ちを覗ける訳でもないし、

そんなこと多分知らないだけで世の中そういう事で溢れているかもしれない。





でも”それ”が本当に現実になれば、頭で分かっていてもグロすぎる事実だ。








私のことをいつも励ましてくれたのに

いつの日か私を無視するようになった親友も



ずっと私の夢を応援すると言ってくれた母も



幼い時から特訓を強いてきたくせに

死に際に”ヒーローになるな”なんて遺言を残した父も







信頼も 日常も 命も


こんなにも壊れやすく、もろいのかと。





私が知るには早すぎた。






















あなた「_____ここでいいよ、爆豪くん。」



爆豪「……お前の個性それ、ホント便利だな。」



あなた「でしょ。だから送らなくてもいいって言ったのに。」



爆豪「帰りもべそべそ泣いて周りに迷惑かけられても困るからな。」



あなた「…………うざ。」









かっちゃんに体育祭のことを謝ろうとしたら、不覚にも彼の思惑で自分の本音をさらけ出してしまった。



そして一通り私が落ち着いた時には外は暗くなり始めて
彼は「送る。」とだけ言って、私が断っても聞く耳を持たなかった。

(暗くても個性で照らせるのに)




私はかっちゃんを目の前にしてめちゃくちゃな事を言ってしまった、と思う。

正直泣きすぎて所々、自分が何を言っていたのか覚えてない。




中学の時から抱えていた感情まで口に出してしまったから、かっちゃんは聞いてても分からないことはあったと思うけど

それでも静かにただ抱きしめてくれたのは間違いなく彼の優しさだった。



あんなに泣いたのは久しぶりだったな。









爆豪「今日は泣きっ面イイもん見れたなぁ。」



あなた「他の人に言いふらしたらシバく。」



爆豪「おー、やってみろよ。」






前言撤回。

やっぱかっちゃんは優しくない。


泣き顔見られたの最悪、屈辱。








爆豪「ンな心配しなくても、そんなくだらねぇ事話す相手はいねぇよ。」



あなた「友達がいないってこと?かわいそー、」



爆豪「てめぇ今すぐ爆破してやろうか。」














調子狂うんだよな...今日のかっちゃんは。





口悪いのは変わらないけど、いつもの怒鳴りは?

睨みは?

眉間のシワもいつもより少ないせいか、幼く見える。




なんか……ちょっと昔に戻ったみたい。












爆豪『あなた!オールマイトカードあたった!』



あなた『えっ!いいな〜わたしもほしい〜』



爆豪『やるわけないだろばーか!』



あなた『ばかって言った方がばかだよー!』














爆豪「……?んだよ。」


あなた「いや、なんでもない。」








昔の口の悪さは可愛いものだったのになぁ。

直るどころかそれが悪化してしまったのはある意味すごいのかもしれない。



そんなことを考えたけど、かっちゃんも早く帰らせなきゃと思い出して玄関の扉に手をかけた。











あなた「送ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね。」



爆豪「…………」




あなた「……、?爆豪くん…?」







かっちゃんは何故か方向を変えず、ただ私のほうを向いて

やがて顔だけぷいっと横にそらした。








爆豪「ババアが、また飯食いに来いって。」



あなた「……!いいの?」



爆豪「ババアが言ってんだからいいんじゃねえの。」



あなた「じゃなくて、」



爆豪「あ゛?」








かっちゃんのお母さんのお誘いは正直嬉しかった。

でも、







あなた「爆豪くんは……また家に私がお邪魔してもいいの?」








今まで多分、私が1番かっちゃんに目をつけられ続けた。



変なあだ名で呼んでくるし

毎回勝負しかけてくるし



きっと気に食わなかったんだろう。





前もかっちゃんのお母さんが誘ってくれたから夕飯をご馳走になったんだけど、

その時もかっちゃんに嫌な顔をされた。



また前回のようにかっちゃんの母親の頼みだから
もしかしたら彼は嫌だけど我慢してるかもしれない。
(何かとお母さんには頭上がらないっぽいから)






そう思って今回はちゃんと本人にも聞いた。











爆豪「………どっちでもいい。お前が来たいなら来い。」


あなた「…!」









いいんだ。

やっぱり今日のかっちゃんは変だ。優しくて、変だ。


だけど素直にそれは嬉しかった。








あなた「また時間ある時お邪魔します…って伝えておいて。」



爆豪「……おう。」



あなた「じゃあ、また明日。爆豪くん。」








小さく手を振ると、今度こそ彼は方向を変えて何も言わず歩き出した。

その姿が見えなくなるまで私は見届けた。




嬉しさがじわっと広がって、なんだか心がくすぐったくて

それが一体どういう感情なのか私には分からなかった。









あなた「………………また何か、忘れてる気がする。」








そう思った時ポケットに入れていた携帯の通知音が鳴った。

見てみると”轟焦凍”と差出人が書かれていた。






轟焦凍
轟焦凍
今時間大丈夫か?





あ、そういえば焦凍も私に話があるって言ってたっけ。




(なまえ)
あなた
今家に着いたところ。そっち行こうか?
轟焦凍
轟焦凍
いや、俺が行くから家で待ってろ。




あなた「了解...っと。」







焦凍の優しさに甘えて一旦家で待つことにした。

こうやって連絡取る度に思うけど、アイコンも蕎麦にするとかどんだけ好きなんだよ。



家の中に入ってほんの数分経ったあとチャイム音が鳴った。







ピンポーン...









轟「悪ぃな、急に来て。」



あなた「いや逆にごめんね。今日一緒に帰れなかったのにわざわざ家に来てくれて。」








焦凍はもう制服ではなくラフなパーカーに身を包んでいた。

お風呂に入ったのかいつもより髪がふわふわしている。








あなた「あがる?」


轟「いやすぐに終わるからいい。」









珍しい、早く終わる要件なら尚更。

メールでも良かっただろうに直接話した方がいい内容なんだろうか。


家は近いけどこうやって来てくれることもよっぽどの用事がある限り無いことだ。








轟「俺……この前母さんに会いに行った。」


あなた「……え、?」








前触れもなく突拍子に言われた出来事は、私にとって……いや、焦凍にとってすごく大きなことだった。










____NEXT。










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