『ヌナっ!聞いて聞いて‼︎』
『僕、デビュー決まったんだよ!』
頭の奥深くに残る愛しくて切ない声
もう3年経ったのに
まだ、鮮明に聴こえる声
首元に光る十字架
無機質なくせにあたたかい
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
古びたビルの一角にひっそりと構える
私のカウンセリングルーム
フリーの心理カウンセラーとして
私が1人で営む物寂しいカウンセリングルーム
客呼びもしない、人も雇わない
完全に人から人へ伝えられて成り立つ
そこを訪れた今日最後の患者
天使のような雰囲気を纏った人
一見、苦しみを吐き出して
楽になったように思えるけど
私の目には誤魔化せない
なぜなら私は知っているから
彼の笑顔が偽りであることを
その下には真っ黒な闇が覆い隠されていることを
私は知っているから
いや、見たことがあるから
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。