jmside
片手にケーキを持っていることなんかもう頭にはなくドアノブに手を伸ばし、勢いよくドアを開ける。
目に飛び込んできたのは、椅子の上に立って、窓に腕を伸ばすあなたの姿と、シーンと静まり返った広々とした空感だけ。
jm『何やってんだ!』
咄嗟に大声が出る。
俺の声が響くと共にあなたがこっちに振り返る。
ただでさえ大きい目を見開いて、何か俺にバレたらまずいことでも、?
グラッ
あなたを支えてる椅子が大きく揺れる。
jm(あぶねえ、!)
咄嗟に体があなたを受け止めようと動く。
目と手をぎゅっと握りしめて、相当怖いんだろう。
そりゃそうだ。
あの高さから落ちたら俺だって怖い。
こんな時にも叫んだり声を出したりしないのは、もしかして俺がお前を閉じ込めてるから、?笑
バサッ
大きな音とともにずっしりとした、腕の中にいつもの安心できる温かみを感じる。
腕の方に目を向けると、そこには涙目で震えてるあなたがいた。
『なんであんな危ないことしたんだ』
『なんで窓なんか開けようとしたんだ』
っていうさっきまで馬鹿みたいにあった怒りが今は嘘みたいに消えていく。
怒るのは今は我慢してとりあえず怯えてるあなたを落ち着かせるほうががさき。
jm『大丈夫か?』
腕の中にいる震えたあなたを安心させるように強く抱きしめながら穏やかな声でそう言う。
まだ頭が追いついてないのか、頷くことしかしないあなた。
今は、話せないのか、
ひとまず、怪我しなくてよかった、、、。
一気に安心した気持ちが押し寄せる。
俺が咄嗟に動いてなければあなたは今ごろ大怪我してた。
もし最悪の事態を招いてたら俺は。。。
なんて考えるだけで胸が張り裂けそう。
俺にとっての唯一の生きがいが無くなってしまう。
そんなの耐えられないし、考えられない。
だって俺にはこいつしかいないから____。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。