二人でいつものお店で待ち合わせをし、席に着いた途端に漏れ出るため息。疲労と、安心感の二重である。
注文表を渡そうとしてきたクロロの手が引っ込み、勝手に私のご飯も注文してくれた。えっよく私が食べたいものわかったね。すごっ。
やはり "急に" と "無理矢理" を強調しただけあって、クロロも引っかかったらしい。イルミ、私が貴方を訴えたら勝てる可能性が出てきたよ。裁判所で会おうね。
まあ疲労のいちばん大きな原因は、ビスケを除いた友人全員に隠し事をしているせいだと思う。念の習得にも疲れるけど、ビスケの念能力のお陰でそこまで苦にはなっていない。
ただ、すっごく疲れるんだよね。「念について知っていると公言しない」ことって。そっちに意識がいっちゃうからさ。単純な脳みその私にはキツい。
するとクロロが、少し考え込むような仕草を見せた後、「 あなた 」と名前を呼んだ。
あんまり覚えていないけど、クラスの子に話しかけたら「 あなたちゃんに話しかけてもらっちゃった! 」だとか騒いでいたような気がする。
クラスのみんなが皆そんな感じだったため、話しかけるのも少し憚られてしまっていた。
私ってこんなにもおもしれー女なのに……。
また何か思案顔を浮かべているクロロを横目に、ちょうどご飯を届けに来た店員さんに感謝を伝える。
ああいう質問をしてくる人間って、大体「 既にしている 」もしくは「 これからそうしようとしている 」の二択なんだよね。
クロロが前者か後者か知らないけれど、やたら自分について話さない彼が自分から踏み込んだって事は、少しは心を開いてくれたって証拠なのかな。だったら嬉しいけど。
ただでさえ疲れている頭で、クロロの思惑を探ろうとすると倒れてしまいそうだ。私の周りの友人、ほとんどが隠し事してるだろうし考えたって意味無いよね。お腹すいたし早く食べよーっと!
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!