(トクン、トクン……)
心臓の音が、どこか遠くで響いていた。
白い霧の中、足元が霞んで何も見えない。
声を出した途端、空気が震えた。
淡い光の粒がふわりと漂い、やがて形を成していく。
小さな家。腐った畳。
雨漏りの音。
そこに──二人の少女がいた。
一人は黒髪の子。もう一人は、白髪で自分に似た顔をしている。
二人は寄り添って、薄い布団の中で手を握りあっていた。
──その声を聞いた瞬間、胸が締め付けられた。
懐かしいような、悲しいような………説明できない痛みが走る。
その約束の言葉を聞いた瞬間、霞の中の景色が歪む。
畳が焦げ、炎が上がり、誰かの悲鳴が響いた。
声を出そうとするけれど、息が喉に詰まったまま外に流れていく。
ただ、焼けた匂いと涙の味だけが胸に残った。
(……カナデ……)
誰かが自分の名を呼んだ。
その瞬間、霞が音を立てて崩れる。
勢いよく起き上がる。
息が乱れて、手のひらが汗で濡れていた。
部屋は静かで、柔らかな香の匂いが漂っている。
障子の向こう、月の光が白く差し込んでいた。
胸の奥がざわつく。
知らないはずの場所。知らないはずの少女。
なのに、涙が止まらなかった。
静かな夜。
遠くで雨が降り出す音がした。
なのです!投票ありがとうございます!!
今公開している、十話の内容までは ➕ を追加で書かせていただきます(՞ . .՞)✨十一話の公開がだいぶ遅れますが、➕をお楽しみいただけると幸いです(*´︶`*)❤︎
鬼の血と隊士の魂、一話➕お読みいただきありがとうございました!













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!