第23話

二話➕
189
2025/11/06 09:01 更新
【無惨邸】

カナデ
お父様、今日も風の音がするね
鬼舞辻無惨
そうだな。外は今、雨上がりだ。庭の木々が揺れている

カナデ
外って……どんな匂いがするの?
鬼舞辻無惨
外の匂い、か……。血と土、そして腐った命の残り香だ。お前には似合わぬ
カナデ
……でも、少しだけ………かいでみたいな
鬼舞辻無惨
はは、、可愛いことを言う

その声は柔らかく、指先は頬を撫でた。
優しいはずなのに、その笑みの奥にある影が胸を締め付ける。


鬼舞辻無惨
外は危険で汚らしい世界だ。ここにいれば、痛みも恐れもない。お前は私の傍にいればいい

カナデ
うん………わかってる


そう言いながらも、胸の奥に小さな棘が刺さる。

屋敷の外に広がる風の音も、まるで遠い呼吸のように聞こえた。





香炉の煙がゆらめく。
甘くて重たい匂いが部屋を満たす。
けれどその香りが、今夜は息苦しかった。
カナデ
(どうしてだろう……苦しい。お父様の言う通りこの部屋にいれば良いはずなのに、部屋の空気が……薄い)



喉が焼けるようで、胸が締め付けられる。

窓の外の風が、かすかに木々を揺らした。



カナデ
(風………)
立ち上がると、静かに扉を開けた。きっと今夜あの人は帰ってこない。

外に出ることは、禁じられている。



でも────香炉の中の煙よりも、その風の匂いを感じたかった。


夜気が頬を撫でた。
それは冷たくて、でもどこか優しい。

カナデ
……すごい……


初めて吸い込んだ空気は、少し甘くて少し土の匂いがした。

屋敷の中では決して感じられない、”生きてる”匂い。


カナデ
(息ができる……こんなに楽に………)

涙が滲んだ。

風が髪を撫で、白い房が月の光に溶けていく。
カナデ
外の空気って………夢みたい


ふと、森の方から微かな光が見えた。
誘われるように、一歩、また一歩と足を進める。

カナデ
(もう少しだけ……もう少しだけなら)


草をふむ音が静かに響いた。まだ知らない世界の香りに包まれながら、私は闇の森へと歩き出した。




なのです!元の話があると結構楽に書けることを知りました՞っ ̫ ⊂՞まだ森に向かって進み出したところなので先は長いですがお付き合い頂けますと幸いです🙇‍♀️
鬼の血と隊士の魂、二話➕お読みいただきありがとうございました!

プリ小説オーディオドラマ