退院してから何週間か経ち、夏休み。
8月。首筋に ツー と汗が垂れたのをえりのあたりで拭き取り、手をパタパタしているいつもよりも何だ
か色っぽいあなたと並んで歩いている。
今日は、初めてのデート。
あなた『ねねっ どこ行くの?』
無一郎「秘密っ」
あなた『え〜』
ザーザー
あなた『海だ〜!!』
無一郎「あなた、海好きだったよね?」
あなた『うん!』
あなた『あっ 綺麗な貝殻』
無一郎「ほんとだねニコ」
あなた『うんニコ』
無一郎「あなた____海が綺麗ですね。^^*」
あなた『そーだね^^* ってかなぜに敬語?』
無一郎「さぁ?」
あなた『ふふっ』
2人顔を真っ赤かにして口付けをしていた時、
「海が綺麗ですね。__本当の意味が伝わるのは、あなたがお馬鹿ちゃんじゃなくなってからかな?」
なんて考えてたのは、僕だけの秘密。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!