しばらく経った頃、お母さんの病態が悪化した。
もう助かる兆しはほぼ無いそうだ。
私はふと、もう手入れもされてない、汚くてボロい
平屋の中に有るたった一つの夫婦写真に目をやる。
見えてなくても、そこに愛する母親の笑顔と、もう見ることの出来ない父親の笑顔がある気がする。
父は私が産まれる前に事故で亡くなった。理由はよく知らないが、火災……?だったかな。
それに父は大手企業の社長で相当稼いで居たようで、母の洋服はいつも手触りが良かった。だけど、家にお金は残って無い。母が酒につぎ込んだからだ。
そのせいで母は病院行き。笑っちゃいますね。
父は大層見た目が良かったそうで、お母さんはいつも馴れ初めの話をしてきました。でもその度に最後は泣き崩れるからちょっと困ってましたね。でも、良く私はお父さんに似てるって言われると嬉しかったです。
父になりきれない欠陥品でしたけど。
それが幼い私にとって、最高の決断だと思ったのです。母に最後、父として、完璧な姿で会いに行くと。
昔今は亡き祖母とした会話を思い出しました。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!