第3話

初めてのヴィラン
610
2024/11/13 23:47 更新

季節は肌寒くなった頃

破壊された建物はほとんど修復された

しかし、1度潰れかけた町ヴィランが湧かないわけない

ほら、あそこの路地裏に1人居る

ヒーロー達は何をしてるのだろう

そもそもヒーローと呼んでいいのか
デク
デク
僕も行こうかな

立ち上がると纏っている黒い布が風になびく

ビルの屋上から飛び降りた

さっき張ったロープで衝撃を抑える
なんだお前
デク
デク
すいません

ガラガラとした男の電子音で話しかける

フード男は急に現れた僕に足を止めた
どけ
デク
デク
…何故ヴィランになったんですか?
教える必要はねぇ

意外と冷静、辺りには冷たい空気が漂う

フード男はこちらに向かって走り出す

個性は分からない
デク
デク
っ!

個性なしで拳を叩きつけられた、重い一撃

軽々と吹っ飛ばされてしまう
デク
デク
なんで、ヴィランに…なったんです?
うるせぇよ、ヒーロー

僕をヒーローと勘違いしてる?

体を起こしながらじっと姿を見つめる
デク
デク
僕はヴィランだ
しらねぇ、よッ!

また物理攻撃、個性すら使って貰えない

今度はぶっ飛ばされずに済んだけど

完全に舐められて腹が立つ
どっちでもいいから、さっさとs

ぐぅぅ…と空腹の音がシリアスな雰囲気に

割って入ってきた
デク
デク
えっと…お腹、空いてる?

僕は作ってあったおにぎりをポーチから取り出した

それを彼に渡す
デク
デク
元々、僕が食べようと思ってたやつだから何も入ってないよ
随分と、優しいな
デク
デク
……色々あったから

男は少し黙ったあと、危険がないと分かったのか

警戒をといた
誰にも言わねぇか
デク
デク
うん
俺の名前は……

耳元でボソッと呟かれる

そこまでしないと聞こえないほど小さな声で
デク
デク
なんで教えてくれたの

聞いた感じでは、ヴィラン名ではなく本名

打ち解けたことより疑問が勝ってしまった
お前、弱いからすぐ死ぬだろ

けっこう失礼、だが事実

初めての活動がこの人で良かったかもしれない
ヒーロー
誰かいるのか?

ヒーローの声だ、僕らは敏感に反応した

ゆっくり迫ってきてる気がする
じゃぁな、死んでなかったら会おうぜ
デク
デク
うん、気をつけて

フード男はすぐさま去って行った

一方、僕はその場にあるものを置いた

折り紙で作ったアネモネの花を半分切ったものだ
デク
デク
僕がきた、っていう目印、かな
ヒーロー
誰だ

しまった、折り紙を眺めてしまっていた

急いでその場を後にする
デク
デク
もっと筋トレしないとなぁ

逃げながら今日のことを振り返る

身体のあちこち痛い、きっとアザだらけだ

後ろを追っていたヒーローはいつの間にか居ない

高いビルの端でノートを広げる
デク
デク
…覚えておくよ
デク
デク
とうや君

そう言って、今日の反省を書きなぐった

「分析ノート」を閉じた






プリ小説オーディオドラマ