季節は肌寒くなった頃
破壊された建物はほとんど修復された
しかし、1度潰れかけた町敵が湧かないわけない
ほら、あそこの路地裏に1人居る
ヒーロー達は何をしてるのだろう
そもそもヒーローと呼んでいいのか
立ち上がると纏っている黒い布が風になびく
ビルの屋上から飛び降りた
さっき張ったロープで衝撃を抑える
ガラガラとした男の電子音で話しかける
フード男は急に現れた僕に足を止めた
意外と冷静、辺りには冷たい空気が漂う
フード男はこちらに向かって走り出す
個性は分からない
個性なしで拳を叩きつけられた、重い一撃
軽々と吹っ飛ばされてしまう
僕をヒーローと勘違いしてる?
体を起こしながらじっと姿を見つめる
また物理攻撃、個性すら使って貰えない
今度はぶっ飛ばされずに済んだけど
完全に舐められて腹が立つ
ぐぅぅ…と空腹の音がシリアスな雰囲気に
割って入ってきた
僕は作ってあったおにぎりをポーチから取り出した
それを彼に渡す
男は少し黙ったあと、危険がないと分かったのか
警戒をといた
耳元でボソッと呟かれる
そこまでしないと聞こえないほど小さな声で
聞いた感じでは、ヴィラン名ではなく本名
打ち解けたことより疑問が勝ってしまった
けっこう失礼、だが事実
初めての活動がこの人で良かったかもしれない
ヒーローの声だ、僕らは敏感に反応した
ゆっくり迫ってきてる気がする
フード男はすぐさま去って行った
一方、僕はその場にあるものを置いた
折り紙で作ったアネモネの花を半分切ったものだ
しまった、折り紙を眺めてしまっていた
急いでその場を後にする
逃げながら今日のことを振り返る
身体のあちこち痛い、きっとアザだらけだ
後ろを追っていたヒーローはいつの間にか居ない
高いビルの端でノートを広げる
そう言って、今日の反省を書きなぐった
「分析ノート」を閉じた













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。