愛してる、なんて言われたことがなくて
お酒が入っている所為だと、何かの気の迷いだと
疑ってしまう自分に嫌気がさす
湊は俯く私の頬を撫でてから
掬うようにして私に顔を上げさせる
その表情は穏やかで、優しくて
自然とお互いの顔が近付く
そして、唇同士が触れる ___
そう思った瞬間に静止の声が入る
剣持さんのその一言で
人前だということを思い出し、
だんだんと顔に熱が集まってくるのが分かる
当の本人である彼氏はにゃはは〜、と笑っているが
それどころではない
湊が私の腰に回していた手を緩める
私は未だ困惑しながらも立ち上がり、
ふらふらと足元の覚束無い湊を支える
私が他の方にお辞儀をしてから
湊の方を覗うと瞳が鋭く細められる
… え、
先程とは一変した雰囲気で湊は私の耳に囁いた














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。