コツコツコツコツ ギィィィ バタンッ
僕の空間に何者かが入ってきた。
ながいながい眠りから目を醒ました黒い魔物は、身体を起こした。
どれだけ眠っていただろうか。
サラリと、潤いの帯びた漆黒の長髪を揺らすと視線の先には正反対のモノを見つけた。
真っ白な光を帯びた、銀髪のサラリとした短髪に人間離れたした整った顔。
レジス「誰かいるのか...そんな訳はない、か...」
あなた「いるよ」
問いかけに思わず答えたその存在に、レジスは目をみはる。
レジス「お前は何者だ?......魔法や剣気さえ通じない...出たら二度と出られない。...この監獄に人がいたのか?」
スゥー
音もなく近寄るその黒い存在に視線を上げたレジス。
見上げた先には、ただ黒い存在ではなく、黒いオーラを纏いながらも真っ白な肌に、宝石の様な瞳を持ち、この世のモノでは無いような美貌を晒す1人の青年。
レジス「ッッ!?」
目の前に立つ青年は口を開いた。
あなた「私が何者なのか...人間が言う魔物、という存在なのかもしれない...はたまた、悪魔なのかもしれない...」
自身の存在が分からない様で、曖昧に応える彼に
レジス「そうか...。ココは寒い。こちらにおいで。」
存在も分からない彼に手を差し伸べたレジス。
2人はこの日から1周間の監禁期間、片時も離れずこの時間を共有した。
そして、監禁期間が終わりを迎える。
レジス「君を連れていきたい。君さえ良ければ。」
そう言うと、なんの躊躇もなく手を差し伸べた。
あなた「私がココを出るには...契約をしてくれる人間が必要なんだ。それでも私は.....貴方と共に在りたい。連れて行ってくれるか、レジス。」
そう怖々言い、アメジストの瞳を揺らしたあなたの手を取り、手首に口づけを落としたレジス。
その瞬間、見えない鎖に繋がれていあなたの手足は、パァァンッと弾け飛び、瞳と同じ色の光に包まれた。
あなたと契約を交わす事に成功したのだ。
あなた「レジス....ありがとうッ」
そう言い、視線をあげたあなたの瞳から一筋の雫が溢れる。
それを見たレジスは、人差し指で涙を拭うと視線を足元にやった。
あなたは裸足だった。
先程までは、地面につくかつかないか位で浮いていたのだが、契約を交わした瞬間、地に足をつけたのだ。
それを見かねてグイッと引き寄せると、両腕に抱き上げた。
あなた「レジス? なんで抱えた??」
その質問には応えず、歩みを進めた。
コツコツコツコツ
ガチャッ ギィィィ バタンッ
扉を開けると、嫌な音を響かせ扉は開き、そのままバタンッとしまった。
彼の姿を傍から見ると、何も無いのに何かを抱えているように映ったようだ。
これを見たものは、フロエン公爵は、影の間に入って生還はしたが、気が狂った。と、誰もが思った。
当のレジスは、周りからあなたが見えていないことに気づくのはそれから間もなくしてだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!