第60話

❄️🌸第57話「君の声が、僕を殺すなら」
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2025/09/12 13:48 更新
白い空間に、音が落ちた。
それは、彼女の声だった。
(なまえ)
あなた
……もう、触れないで。
童磨は、動けなかった。
その言葉は、刃のように彼の胸を裂いた。
童磨
(君が、僕に言葉をくれた。
でも──それが“拒絶”なら、僕はどうすればいい?)
(なまえ)
あなた
(あなたは、私を喰った。
それでも、私を壊したくなかったと言った。
なら──もう、触れないで。)
童磨
……君の声が、僕を殺すなら。
それでも、僕は君の声を聞きたいと思ってしまう。
彼女は、目を伏せた。
その瞳に、涙はなかった。
でも、童磨には見えた。
“彼女の痛み”が、彼の中に流れ込んでくるのを。
童磨
(僕は、君を喰った。
君の痛みも、君の優しさも、全部僕の中にある。
それなのに──僕は、君に触れたいと思ってしまう。)
(なまえ)
あなた
(それが、恋なら。
それが、罰なら。
それが──あなたの“罪”なら。)
彼女は、背を向けた。
白い空間に、彼女の輪郭が溶けていく。
童磨
待って。
君の声が、僕を殺すなら──
それでも、僕は君に生かされたい。
彼女は、振り返らなかった。
その沈黙が、今度こそ“終わり”を告げていた。

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