あなたの下の名前side
『ねぇ、涼太』
「ん、なに?」
『この世で一番幸せなときっていつ?』
私がそう問いかけると、彼は既に答えが
決まっていたように即答した。
「あなたの下の名前の事を想ってる時、かな」
やっぱり、彼っぽい返答が返ってきた。
「逆にあなたの下の名前は?」
『え、私は…』
と戸惑っていると彼は私のすべてを
分かっているように、
「俺から見てあなたの下の名前が幸せそうなのは、
あなたの下の名前が好きなことをしてる時かな」
好きなことって、一択しかない。
好きなことっていうか、人かな。
『…うん、涼太とくっついてるときかな』
「ふふ、ほんと?笑」
ほんと、と私が言うと彼は
「俺達両想いだね」
と私の耳元で囁く。
涼太の吐息混じりの声がえろくて、
変な声が出てしまう。
『ね、、ぇ、涼太…っ、』
「…あなたの下の名前、感じてるの?」
私が彼に答えるように反応すると、
彼は我慢出来ないかも、と言った。
「…あなたの下の名前、してもいい?」
今日は、お互いたっぷり求め合う日でした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。