ハリーside
ルーピン先生がそれを言った途端、あなたは床に倒れ込んだ
ルーピン先生が何かを言い終える前に、あなたはハーマイオニーに抱えられながら目覚めた。
ゆっくりと開く、赤色の目。その目がいつもと違うことに、ハリーはすぐには気づけなかった。
でも、ハーマイオニーは気づいた。自分の手の中にいる少女が、自分の知るあなた・シアーズでないことに。
"彼女"はハーマイオニーを押し返して離れると、立ち上がってパッと腕のホコリを払った。と同時に、部屋のホコリも全て舞い上がった。
それを見て、少し面倒くさそうにパチンと指を鳴らすと、ホコリは全てどこかへ行ってしまった
それは秋じゃなかった。いや、姿形は明らかにあなただ。赤い目、黒い髪、全ての要素があなたそのものだ。でも違う。何か根本的な、本質的なものがあなたではなかった。
"彼女"がふいっと指を動かすと、ルーピン先生の手からあなたの杖が飛び出して、収まった。
"彼女"はスっと杖をブラックに向ける
その瞳は、瞳の色とは対照的に冷たく、鋭い眼光はいつもの彼女を1ミリも感じさせなかった
"彼女"はブラックから視線と杖先を離さないまま、先生に話すように合図した
ルーピンは少し複雑そうな顔をしたが、そっと話始めようとした
ハーマイオニーが叫んだ。ハリーもロンも状況がどうなっているのか分からない中で、ハーマイオニーだけが現実を理解し、自分の持ち合わせる情報で仮説をくみ上げた
ハリーはハーマイオニーの言っていることを理解して、体が震えるのを感じた。恐怖からではなく、怒りからだった
ハーマイオニーはハリーに向かって叫んだ
そして、決意のみなぎる表情で叫んだ
瞬間、ゴゥッと風が部屋に吹き荒れた。
それがどこからのものであるかはすぐにわかった。発生源である人間だけが、話し始めたからだ
ブラックを見たあの瞳と同じ、冷たい声。燃えるような赤い瞳。それはハリーらを黙らせるには十分すぎるものだった
ルーピンはハリー、ロン、ハーマイオニーにそれぞれの杖を投げ渡した。
ハリーは呆気にとられて自分の杖を受け取った
そしてルーピンは自分の杖をベルトに挟み込むと、"彼女"を見た。
"彼女"は1度目を少し伏せてから、杖を下ろしてローブの中にしまい込んだ
ハリー達はそっと目配せをしあったあと、"彼女"に目を向ける。そしてルーピンに視線を戻した
ルーピンは驚くべき真実を語った。
本当はスパイになりハリーの両親を殺したのはピーター・ぺティグリューだったこと。彼がまだ生きていること。
自身が人狼であること。そのことがジェームズ達にバレてしまったこと。それが理由で、優しい友達は『動物もどき』になったこと。忍びの地図を作ったこと。
それから、スネイプがシリウスの悪戯で自分が狼人間であることを知ってしまったこと。
セブルス・スネイプが、「透明マント」を脱ぎ捨て、杖をピタリとルーピンに向けてたっていた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!