※中学の時の話
体育館はバスケの授業中
ドリブルの音と、やる気のある連中の叫び声が響いてる
私はコートの端っこで、置物のように棒立ちしていた
走るなんて、私の辞書には
「持久走」以外載せたくない…………はずだった
えまの声と同時に目の前に勢いよくボールが飛んできた
反射的にキャッチした瞬間
なぜか目の前の道がゴールまで
一直線に開いているのが見えた
無意識にドリブルを開始
相手チームのえまが「えっ、ちょ、てぃな!?」と
困惑する間をすり抜け、
ゴール下でふわっとボールを放った
パシュッ
綺麗な音を立てて、ボールがネットに吸い込まれる
笛を吹きながら審判席でやる気なさそうに座っていた
先生がニヤニヤしながら手を叩いた
コート外で見ていたふたばとりかは、
開いた口が塞がらない様子で固まっている
さらに、隣のコートで試合をしていた
男子軍にも衝撃が走る
まぐれか才能か
本人が一番びっくりしているけれど、
野波先生の適当な煽りと、
みんなの驚愕の顔が面白すぎて、
ちょっとだけ「バスケも悪くないかも」
なんて思ってしまった瞬間だった

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!