俺は目を覚ましたあと、Latteさんを屋上に連れ出した。
Latteさんが葛藤している過去とやらを払拭しないとLatteさんが苦しむという夢を見たからだ。
彼女はいつものように冷たい視線を俺に送ってきた。まるで諦めろとでも言うみたいに…
でも俺は諦めなかった。
Latteさんが笑うと笑う。悲しむと悲しむ。嬉しいと嬉しい。
きっとこのとき俺はLatteさんのことが好きになっていたんだろう。
だから、苦しいと苦しい。
話して…お願いだからさ…
彼女と俺の間に沈黙の空気が流れた。
屋上ならではの強い日差し、風の音、鳥の鳴いている声。そんな小さな自然の音が聞こえるくらいには…
Latteさんの声色はいつもの冷徹冷淡の声色じゃなくなっていた。
彼女はポツリ…ポツリと過去のことを俺に話してくれた。
3人は幼馴染で物心ついた時には一緒に遊んでいたくらいには仲良しだった。
ある日、Latteさんとめめさん、iemonさんで他愛のない会話をしていた時に朝の会が始まった。
ザワザワ…
もともと、Latteさん達クラスは他のクラスよりも人数が少なかったため転校生はLatteさん達クラスに来た。
-「やだ、凄いイケメン!」
-「私狙っちゃおうかなぁ。」
パチパチパチパチ
Latteさん達は転校生という存在が初めてだったみたいで、興味津々だった。
この如月隼人という人物はルックスよし、運動よし、頭もいい、いわゆる完璧超人だった。
俺が転校してきた時と同じようにLatteさんの隣が空席だったため、隼人はそこに座ることになった。
そうして急激な展開を迎えた朝の会は終わった。終わるのと同時に隼人の席にはたくさんの人が集まっていた。
-「えっと、最近は何してるの?」
-「好きなタイプとかある?」
Latteさんの席の周りの人達は物静かな人ばかりでLatteさんも静かなのが好きだったのでこの騒がしさに鬱陶しさを感じていた。
-「ちぇ、つまんねぇの。」
-「わかった!いっぱい質問するから覚悟しといてよね!」
隼人はLatteさんのあんまり良く思っていないところを見て、静かにしたのだろう。
隼人は初めてこの学校の授業で分からない点をLatteさんに聞いていた。
そして教えてもらった内容を熱心に自分で持ってきたメモに書き込んでいた。
こうしてLatteさんは隼人のことを結構話しやすいと思った。
mm学園でも同じように中学生時代も親衛隊が出来るほどモテていたLatteさんは今みたいに冷淡ではないが、恋心を抱いたことはなかった。
この時のLatteさんは初めて、隼人に特別な感情を抱いたらしい。
クラスのみんなも信用していて、誰もが良いと思う人だった。
Latteさんが忘れ物を取りに教室に来ると中から話し声が聞こえた。
盗み聞きをする気はなかったが、気になったため、こっそり聞いてみることにした。
教室から聞こえてきたのはLatteさんのことを侮辱することばかり…
Latteさんは走り出した。
水筒のことなんか忘れて、周りの目も気にせずに走り泣いた。
優しいLatteさんはそう思うことで自我を保っていたんだと思った。
隼人は数ヶ月で親の都合で越していった。
Latteさんは前を向き、転校生は度々来たが、信用しては裏切られてを繰り返し…
心に深い傷を負った。
そのせいでもう転校生を信じれなくなってしまったらしい。
過去を語り終わったLatteさんの目は赤く腫れていた。その下を透明な光が落ちていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。