舞台挨拶のカーテンコールを終え、
楽屋のソファでぐったりしていたら、
トウガが隣に腰を下ろして、缶のお茶を差し出してくれた。
受け取りながら、
私の肩は自然とトウガの肩にもたれかかる。
誰にも見られてない、2人だけのこの場所では、
少しくらい甘えても許される。
トウガはいたずらっぽく笑った。
前は、こんな表情する人だなんて思ってなかった。
私は彼の胸元に顔を埋めるようにして、
ぽつりとこぼす。
その言葉に、胸の奥がまた熱くなる。
彼の腕が、静かに私の肩を抱き寄せる。
2人で笑い合う、この時間が愛おしい。
カーテンコールの光よりも、舞台の拍手よりも、
この何気ない一瞬が、何より輝いて見える。
少しだけ意地悪にそう言うと、
彼は驚いた顔をしてから、
すぐに噛みしめるように笑った。
握った手の温度が、何よりも確かであたたかい。
“推し”から、“恋”へ。
そして、恋から“愛”へ。
私たちの物語は、今、ここから始まる。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。