第9話

大橋 Side —雨の前の道しるべ💙💚(夕虹パロディー)
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2026/08/16 06:04 更新
​あの日から、僕の視線は気づけばいつも彼を追っている。
​長年付き合っていた人に酷い浮気をされ、裏切られた。

誰よりも信じていた存在を失い、さらに職場でも理不尽なトラブルの責任を押し付けられそうになって、僕の心は限界だった。情けなくて、惨めで、誰にも相談なんてできなかった。夜の非常階段で、声を殺して泣くことしかできないほど、僕の心にはずっと土砂降りの雨が降り続いていた。
​そんな暗闇から僕を救ってくれたのが、丈くんだった。
​彼は職場でも周囲と群れない一匹狼で、どこか取っ付きにくく、いつも悲しげな瞳をしている。

あの日、押し付けられそうになった理不尽な仕事の場に、丈くんはふらりと現れた。自分の得にもならないのに、淡々と事実だけを指摘して僕を守り、本人は助けたという意識すらないまま「お疲れ」とだけ言って去っていった。
​あの背中を見た瞬間から、丈くんは僕の暗闇を照らす「道しるべ」になった。

​もっと近づきたい。でも、一度近づきすぎてしまったら、もう今の関係すら壊れて二度と戻れない気がする。それに、どこか蜃気楼のように美しくて儚げな彼は、強く触れたらすっとすり抜けて消えてしまいそうだった。だから僕は、ただ遠くから彼のことを見惚れることしかできなかった。


​夕方の帰り道。奇跡的に退勤のタイミングが重なり、二人で並んで歩いていたときだった。
予報になかった激しいゲリラ豪雨が、突然街を襲った。


​「うわっ、すご……!」


​焦る僕の隣で、いつの間にか隣にきた丈くんが無言で広げたのは、二人で入るにはあまりに小さな折りたたみ傘だった。肩が触れ合うほどの距離で雨を避けながら、急いで駆け込んだのは近くのカフェの小さな軒下。

​打ち付ける雨の音と、ドラムのように弾ける水滴。


​「……丈くん、服、濡れてへん?」


「ん。全然大丈夫やで」


​そんな一言二言を交わすだけ。

濡れた肩をさする僕のすぐ隣で、丈くんは静かに雨を見つめている。

​距離はこんなに近いのに、「雨が止むまで、そこでお茶でもしませんか?」という当たり前の言葉すら、不器用な僕の口からはどうしても出てこなかった。

​(好き、なんて言葉じゃ足りない……)

​胸の奥から溢れ出してくるのは、もう「好き」という概念を超えた、名前のつけられない重い感情だった。
夜が来ても、目を閉じれば彼のあの悲しげな瞳が脳裏に焼きついて離れない。本当は、あの瞳の奥に喜びや嬉しさの虹がかかる瞬間が見たい。でも、拒絶されるのが怖くて、手はポケットの中で丸まったままだった。


​やがて、遠くの空から雨雲が切れ始め、夕暮れの赤みがかった光が街を包み込んでいく。


​「あ……」


​思わず声がでた。見上げると、西の空には色鮮やかな「夕虹」が大きく架かっていた。
​雨上がりの澄んだ空気の中、夕虹の優しい光に包まれる彼の横顔。

手がすり抜けてしまいそうに儚くて、でも確かに隣にいてくれる彼と、こうして同じ空を見上げている。

​この恋が実るのか、二人の関係がこの先どうなっていくのか、答えはまだ何も分からない。けれど、不安で揺れていたはずの胸の奥が、今は不思議なくらい温かい。言葉にできない想いを抱えたまま、僕はただ、彼と分け合ったこの愛おしい時間と温もりを大切に噛みしめていた。


​「綺麗やね……」


僕の呟きに、丈一郎くんが少しだけ柔らかく頷いた気がした。
​僕たちは不器用な距離のまま、そっと夕虹の架かる空をいつまでも並んで見上げていた。
見ていただきありがとうございます✨
この夕虹って曲が好きで絶対これは小説にしたいなとずっと思っていたんですが、なかなか書けませんでした、、

いつものような小説ではなく、歌詞がめっちゃ強くでてしまったなと反省中です\(_ _)

試行錯誤しながらですが書き進めていきます
よかったら末長くよろしくお願いいたしますm(__)m

また、アイディアがほんっとに出ないのでリクエストとか大募集中です♡もしよかったらフォロワー限定のノートでリクエストしてほしいです!(見逃し防止のため)


次は丈くん目線のパロディーとなっています
こんなこと思ってたんだなぁとか思ってもらえると幸いです✨

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