気付いたらこのセカイに行き着いてしまった
何故ここに来たのか…その方法さえ思い出せない
どうやら私は
記憶が一部抜け落ちているらしい
黒いワンピースを着た
黄色髪の少女がいきなり話かけてきた
灰色に覆われたこのセカイとは対照的に、彼女は鈴の音の様な声をしていて
ピコーンと電球のマークが浮かんでそうな挙動をしていた
確か前に居た所もセカイだったな…
にしても、こんな殺風景じゃなかったけど
まだセカイが出来てまもないのか?
グイッ
そう言うと彼女は私の腕を引っ張り
仲間のVOCALOID達の所へ案内してくれた
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そう言って、大きな赤い瞳で相手を品定め
する様に頭からつま先まで見てきた
サッ
鏡音リンより初音ミクの方が身長が高いから隠れれてないだろ…
本当にセカイによって
VOCALOIDの性格は違うんだな
グイッ
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このセカイに来て数年が経った
最初は上手くやっていけるか不安だったけど
ポジティブ過ぎる鏡音リン、胡散臭い重音テト、そして恥ずかしがり屋な初音ミク
リン以外初対面はマイナスだったけど
今は中々に上手くやっていけてると思う
セカイとは、マスターの想いによって出来る空間
私が前に居たセカイは
一人の想いで出来て居たけれど
このセカイは、天馬司と宵崎奏という二人の想いから出来ているらしい
だけど…ここ最近二人とも様子がおかしい
以前より笑顔が少なくなった気がする
“想いのカケラ”とは、手のひらサイズの小さな物で、このセカイに数個落ちているらしい
想いのカケラから
外の世界を見る事が出来て
私は暇な時とかによく見ている
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これは…マズい事になった
最近おかしいと思ったけれど、まさか目から光が消えるまで病んでるなんて…
早くリン達に知らせないと!
太陽の様な彼女が
目を見開き、頭を抱えて叫んでいた
いつも落ち着いているテトでさえ、冷や汗をかいてリンを宥めている
今すぐリンの所に駆け寄りたい
…そう頭では思っているのに
普段とは違う彼女を目の前にして
私は足が動かなかった
なんだか、リンをリンとして
受け入れられないような気がして
ただ呆然と、立ち尽くす事しか出来なかった
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数分後、彼女の異常な行動は治まり
今は横になって目をつぶっている
マスター達…
あ、そういえは司の事を伝えないと
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タッタッタッ
…もしかして、奏もこのセカイの成形に影響しているから
奏にも、司と同様に何かあったのかな
テトは顎に手を置いて、何か考え込んでいるように見えた










![# 攻略対象より悪役に惚れました . [ 冬司ver ]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/463Ienje96SMnaxqeg7tvIaFh9p1/cover/01K566339R5TNCGP01WCWNSK9G_resized_240x340.jpg)


編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。