第23話

十六話
498
2025/07/27 14:29 更新

可不
(…ここは)



気付いたらこのセカイに行き着いてしまった




何故ここに来たのか…その方法さえ思い出せない


どうやら私は
記憶が一部抜け落ちているらしい




???
あれ〜
君初めましての子だね!
???
マスターでも無さそうだし



黒いワンピースを着た


黄色髪の少女がいきなり話かけてきた

可不
だ、誰

???
君名前は?

可不
…ま、まずは話し掛けた方から名乗ったらどうなの?

???
たっしかにー!





灰色に覆われたこのセカイとは対照的に、彼女は鈴の音の様な声をしていて



ピコーンと電球のマークが浮かんでそうな挙動をしていた




鏡音 リン
私は鏡音リンだよ!

可不
私は可不…

鏡音 リン
可不ちゃんか
可愛い名前だね!

可不
ねぇ、此処って
もしかしてセカイ?

鏡音 リン
ぴんぽーん!
可不
(やっぱり…)


確か前に居た所もセカイだったな…




にしても、こんな殺風景じゃなかったけど


まだセカイが出来てまもないのか?




鏡音 リン
可不ちゃんと同じVOCALOIDの子が居るんだ〜

可不
私と同じ…

グイッ
鏡音 リン
おいで!一緒に行こう!



そう言うと彼女は私の腕を引っ張り


仲間のVOCALOID達の所へ案内してくれた





────────────────────

鏡音 リン
みんなやっほ〜!

???
やぁ、リン
今日も元気そうだね
???
リン…!

???
リン、その子は…?

鏡音 リン
新入りの可不ちゃんだよ!
お散歩してたらたまたま見つけたんだ!

可不
可不です…
重音 テト
ボクは重音テト
よろしくね可不君


そう言って、大きな赤い瞳で相手を品定め

する様に頭からつま先まで見てきた
可不
よろしく…
可不
(この人は君付けしないと気が済まないのか?)


サッ
初音ミク
初音ミクです…

鏡音 リン
ミクまた後ろに隠れてる〜


鏡音リンより初音ミクの方が身長が高いから隠れれてないだろ…



本当にセカイによって

VOCALOIDの性格は違うんだな

初音ミク
うぅ、だって初めましてだから


グイッ
初音ミク
ひゃっ

可不
わっ

鏡音 リン
はい握手ー!

可不
どうも…

初音ミク

鏡音 リン
( *´꒳`*)

可不
(本当にこの人達とやって行けるかな…)



────────────────────





このセカイに来て数年が経った






最初は上手くやっていけるか不安だったけど


ポジティブ過ぎる鏡音リン、胡散臭い重音テト、そして恥ずかしがり屋な初音ミク




リン以外初対面はマイナスだったけど

今は中々に上手くやっていけてると思う





初音ミク
最近マスター達
元気無いですね…

重音テト
今は二人とも、精神的にも疲れが出ているみたいだね

初音ミク
奏ちゃんの方も
この間悪夢に魘されてました

鏡音 リン
もしかしたらこのセカイに気付いてくれるかもね!

重音テト
可能性はありえるね…


セカイとは、マスターの想いによって出来る空間



私が前に居たセカイは

一人の想いで出来て居たけれど



このセカイは、天馬司と宵崎奏という二人の想いから出来ているらしい




だけど…ここ最近二人とも様子がおかしい

以前より笑顔が少なくなった気がする

可不
(想いのカケラでも
覗いてみるか)


“想いのカケラ”とは、手のひらサイズの小さな物で、このセカイに数個落ちているらしい



想いのカケラから

外の世界を見る事が出来て



私は暇な時とかによく見ている




────────────────────
天馬 司
___________、

天馬 司
俺はもう…疲れたんだ

天馬 司
信頼していた
彼奴らにも見捨てられて

天馬 司
身体も心も破壊されて

天馬 司
…一週間後にあの男を殺そう

天馬 司
そして俺も死のう

────────────────────

可不
ッッ、


これは…マズい事になった



最近おかしいと思ったけれど、まさか目から光が消えるまで病んでるなんて…






早くリン達に知らせないと!

可不
みんなッ、司が!






重音テト
リン君ッ!

初音ミク
リン!大丈夫!?

鏡音 リン
あ゛あ゛あ゛っ


太陽の様な彼女が

目を見開き、頭を抱えて叫んでいた




いつも落ち着いているテトでさえ、冷や汗をかいてリンを宥めている
可不
え、…


今すぐリンの所に駆け寄りたい




…そう頭では思っているのに



普段とは違う彼女を目の前にして

私は足が動かなかった





なんだか、リンをリンとして

受け入れられないような気がして




ただ呆然と、立ち尽くす事しか出来なかった



────────────────────
鏡音 リン
……


数分後、彼女の異常な行動は治まり

今は横になって目をつぶっている


重音テト
どうやら
今は眠っているみたいだね

初音ミク
それにしても、何でいきなり叫んだりしたのかな

初音ミク
さっきまで様子は
変わらなかったのに…

重音テト
…もしかしたら、マスター達に何かあったのかもしれないね


マスター達…

あ、そういえは司の事を伝えないと
可不
あのっ!

初音ミク
可不ちゃん?

可不
二人に言わなきゃ
いけない事があるんだ



────────────────────

初音ミク
司君が…

重音テト
そうか…


初音ミク
わ、私奏ちゃんの様子見てくる!



タッタッタッ
可不
う、うん



…もしかして、奏もこのセカイの成形に影響しているから



奏にも、司と同様に何かあったのかな




重音テト
……


テトは顎に手を置いて、何か考え込んでいるように見えた
可不
どうしたの
そんなに考え込んで

重音テト
…やっと解ったよ

可不
え、何が?



重音テト
…リン君が倒れた理由が

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