リヴァイs.
その言葉が、胸の奥を削った。
――世界。
――人類。
――正義。
俺はそれらのために、何人も斬ってきた。
血を浴びて、選択して、切り捨ててきた。
だが。
こいつを差し出す理由には、ならねぇ。
気づいた時には、あなたの腕を掴んでいた。
あなたは、初めてはっきりと俺を見た。
泣いていなかった。
揺れてはいるが、崩れていない。
それが、何よりも痛かった。
息が詰まる。
――ああ、そうだ。
俺は選んできた。
仲間より、結果を。
感情より、未来を。
それでもいい、と言い切る前に。
あなたが、俺の服の裾を掴んだ。
小さく。
震える指で。
胸の奥で、何かが壊れた。
理性だとか、責任だとか、
積み上げてきたものが音を立てて崩れる。
俺は答えの代わりに、あなたを引き寄せた。
抱きしめるなんて、柄じゃねぇ。
だが、離す方が――無理だった。
あなたの額が、俺の胸に触れる。
その重さが、やけに現実だった。
小さな声。
だが、離れようとしない。
その事実だけで、
俺はもう、引き返せなくなっていた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。