第14話

14.
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2026/03/18 23:26 更新
あなたs.







































夜は、音が少なかった。









壁の外の風も、兵舎の廊下の足音も、









今日はやけに遠い。











泣いた跡が、まだ喉の奥に残っている。













声を出せば、また崩れてしまいそうで、


















私は何も言えずに立っていた。













































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 …… 正直に言おう 、 あなた 



































エルヴィンさんの声は、いつも通り落ち着いている。










なのに、どこか掠れて聞こえた。




























エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 私は 、 君を選んだ 
(なまえ)
あなた
 …… え  ? 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 世界のため 、 というのは事実だ 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 だがそれだけなら 、 
 私は別の駒を探した 
 

















































“駒”という言葉に、反射的に身構える。









でも、彼はそこで一歩だけ近づいた。













近すぎない。






触れない距離。











――縋るみたいな、距離。






































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 君じゃなければ意味がなかった 















































頭が、ついてこない。

































(なまえ)
あなた
 …… それは 、 どういう … 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 怖いんだ 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 何もかも失うのが 









































調査兵団団長の口から出る言葉じゃない。








いつも、誰よりも“覚悟している人”のはずなのに。




























エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 私は賭け続けてきた 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 仲間も 、 信頼も 、 未来も 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 だが ―― 君だけは 、 賭けじゃない 













































淡々と並べられる言葉のひとつひとつが、重い。










言葉が、出ない。






否定も、怒りも、拒絶も。












ただ、分かってしまった。

































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 君を手に入れたくて 
 私はこの選択をした
































優しい声だった。






だからこそ、残酷だった。































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 それが 、 愛じゃないと言うなら … 
エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 私は 、 悪役で構わない 

















































逃げ道が、ない。














リヴァイは――








私を連れて行こうとした。











力で、世界から引き剥がそうとしてくれた。














この人は、違う。






私の手を取って、世界の重さを一緒に背負こうとする。












どちらも、愛だった。













分かってしまうからこそ、選べない。
















私は気づく。








この人は、私が拒めば、きっと微笑む。






「分かった」と言って、身を引く。










その後で――







世界は、彼の望む形で動く。










リヴァイは、守れなかった現実を抱えて生きる。















それが、見えてしまった。





























(なまえ)
あなた
 少し 、 時間を下さい 



































エルヴィンさんは、何も言わなかった。








ただ、ゆっくりと息を吐いて。


































エ ル ヴ ィ ン
エ ル ヴ ィ ン
 君は 、 優しすぎる 








































その言葉が、









褒め言葉にも、呪いにも聞こえて。














私は俯いたまま、指先を強く握りしめた。















この夜が、










もう戻れない一線だと、分かりながら。

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