そう小さく呟やいた彼女は
何処か哀しそうな顔をしていた
意味が分からない。
傷付いているようにも見える
君のその表情
どうしてそんな顔をしているんだ
同情でもなんでもないただの哀
俺のことを嫌うお前がなんで…
そんな疑問だけが頭を過った
目の前にいる鬼を倒す為に
構えていた刀が震えた 。
力が出なくて握れないわけでも、
手が痙攣しているわけでもない
それにも関わらずここまで腕が震えているのは
切りたくない
キミを傷付けたくない
人間だった時のように悲しむ君を見て
またあの時の " 未練 " を感じてしまったから
_________________ 大切な人が殺される
あなたと一緒に生きたい、だなんて
もう叶わない夢は捨てろ
珍しく出てきた自分の弱音
それを悟られないように
今度は震えないよう、ギュッと刀を握り直した
そう言って彼女は
いきなり先程の雰囲気からは一変し
敵意の匂いを満開にさせ
俺を鋭く睨みつけてきた
うざいだなんて、生前のキミが
一度も使ったことがない荒い言葉だ
俺の知るキミが更に壊れていく
ポツリ、と彼女が呟やいている
" あの人 " は一体誰のことだ …… ?
他に誰か人間の知り合いがいるのだろうか
やけに、その " あの人 " という存在が
俺の心の中で引っかかった











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!