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第4話

あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む
41
2025/08/04 14:44 更新
山間の古道は、夜の帳が下りてからは一層の静寂に包まれていた。

木々はざわめきすらなく、ただ時折、風が草を撫でる音が聞こえるだけだ。

長尾景は、一晩中、この人気のない道を進んでいた。

任務は、この先に潜む、夜陰に紛れて村を襲う怪異を討伐すること。

他の二人とは別行動を取り、一人で山を登る。

「…ふぅ、それにしても、長いな…」

山鳥の長く垂れ下がった尾羽のように、いつまでも続くかと思えるような道。

長尾は、柄に手をかけ、暗闇の中に目を凝らす。先程から、妙に視線を感じる。

気配は一つではない。

「出てこいよ、コソコソしてないでさ。一人だってわかってんだろ?」

長尾がそう言うと、不気味な気配がいくつも重なり、木の陰からぞろぞろと禍々しいモノたちが姿を現した。

その数は、討伐依頼にあった数よりも遥かに多い。

「はは、手ごわそうじゃん! 面白くなってきた!」

長尾は不敵な笑みを浮かべると、一気に間合いを詰めた。

剣を振るうたびに、青白い光が闇を切り裂く。

彼の剣技は、まるで舞を踊っているかのようだ。

しかし、相手の数が多すぎる。

「ちっ…キリがねえな…」

長尾は一旦距離を取り、背後の古木に背を預けた。

息を切らしながらも、目はまだ獲物を捉えている。疲労は隠せないが、集中力は研ぎ澄まされていた。

その時、懐から小さな札が落ちた。

それは、弦月藤士郎が任務の前に渡してくれた護符だった。

「…トウジロウ…」

弦月は、いつも彼らの無事を祈ってくれる。

時折、その心配が過保護に感じられることもあるが、今、一人で戦っている長尾にとっては、何よりも心強い。

「…ハルも、今頃何か研究してるかな…」

甲斐田晴のことも思い出す。

研究に没頭し、周りのことなどお構いなしに見える彼だが、いざという時の冷静な判断力と、圧倒的な知識は、長尾にとって頼もしい存在だった。

「…俺、一人じゃないんだよな…」

孤独な夜道での戦いは、精神的にも肉体的にも過酷だ。だが、長尾は一人ではない。

都に帰れば、彼を待っている仲間がいる。

「よし…!」

長尾は、再び剣を構える。

両手の刀を強く握りしめ、禍々しいモノたちに斬りかかった。

仲間たちの顔を思い浮かべながら、その刃に力を込める。夜はまだ長く、戦いは終わらない。

だが、その夜の向こうに、必ず仲間たちがいる。

そう信じて、長尾は一人、長く続く夜道を駆け抜けていくのだった。

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