クロに連れられて来たあなたは、傷付いた顔をしていた。
でも、一瞬で切り替えられて、焼肉の時は、空元気な感じだった。
赤葦に、ムカついたのは、確かだけど、あなたが赤葦が好きなこと、痛感するし、邪魔をしたいとかなんて思わない。
そもそもそんなのめんどくさいし。
研磨「クロ」
黒尾「ん?」
研磨「話したいから、2人にしてもらっていい」
黒尾「…わかった」
クロは、俺の仕事部屋に行き、リビングに2人きりとなった。
「どうしたの、?研磨」
研磨「どうしたのは、こっちだよ。」
赤葦と何かあったのは気付いているけど、クロに説明してるだろうし、クロに話したこともう一度話して、苦しくて、泣くところなんて見たくない。
「喧嘩したの」
研磨「うん、だろうね」
「なんでそんな冷たいの」
研磨「…聞きたくないからだよ」
聞きたくない、好きな人の恋人の話なんて。
「…そっか、ごめん」
立ち上がって、あなたがある場所の前に立った。
「これ、」
研磨「毎年くれた必勝祈願のおまもり。作ってくれてたよね」
「うん」
研磨「ずっと取ってあるよ」
「そうなんだ」
クロは部員からの思い出として残してるだろうし、実際あの時いた部員はそうだ。
でも、俺は、好きな子がくれたという思い出で残しているから。
研磨「好きな人がくれたものだから」
「…っ、え」
研磨「好きだった、ずっと。出会った日から」
「…だって、研磨はいつも、私の…っ」
研磨「話聞いてたのも、話す口実が欲しかっただけ。」
「…ごめん、傷付けたね」
研磨「傷付けたって思うなら、ずっと幸せであり続けて」
好きな人の幸せは自分の幸せ。
ずっとこの言葉は、綺麗事だと思っていたけど、今の俺にはそうでは無いみたいで。
研磨「好きな人の幸せは、自分の幸せだから」
「…っ、」
研磨「振って早く。」
「ごめん、私、好きな人がいる。その人が大事だから」
研磨「…うん、ありがとう」
しばらくして、クロが戻ってきて、お酒なんて飲んじゃって、あなたは寝てしまった。
黒尾「吹っ切れた顔してんね」
研磨「幸せになってくれるみたいだから」
黒尾「…その王子様もそろそろ登場かな」
インターフォンがなり、クロが玄関まで行く。
赤葦が入ってきた。
研磨「次はないからね。」
赤葦が申し訳なさそうな顔をする。
研磨「後、ケリは付けさせて貰ったから」
赤葦「…そっか」
あなたを抱えて、帰っていく赤葦の背中をみて、ボーッとする。
研磨「…ばいばい、俺の初恋」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!