もう一度持ち物を一通り確認した私は、スマホのマップとにらめっこをしながら駅に歩いた。もちろん到着予定時間は1時間くらい余裕を持って。
わざわざ一人暮らしをしているのに電車に乗らなきゃならない理由は、学園が広すぎるからだ。確か、次の次の駅からしばらく学園の敷地内だったはず。寮もあるのだが、親が渋りに渋ったせいで入学がぎりぎりになってしまい、私が申し込んだ時にはいっぱいになってしまっていた。
結果学園都市内の寮には住めず、少し…いや、結構遠い今のアパートに住んでいる。
マップと自分の勘を信じてにらめっこを継続しつつ、てくてく進んでいくと不意に話しかけられる。
恐らく先輩?を道を歩きながらちらりと見やると目が合った。反射的にぱっと目をそらす。
それ以上話すこともなくなって、お互い無言で歩く。なんだか気まずいような、満ち足りたような、不思議な気分だ。
セミ先輩と別れて、朝からいい出会いがあった、とうきうきしながら言われた方へ向かう。
教科書類を受け取って昇降口のほうに向かうと、クラス分けが書いてあった。当然のごとく、私の知り合いの名前はない。
五度見くらいして自分のクラスを覚えたら、教室に向かう。まさかの一年生が最上階の6階だ。
ひいひい言いながらようやく教室について、自分の席に座る。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!