夜。
部屋は暗く、ゲームの画面だけが青く光っている。
めるとはコントローラーを置き、天井を見上げた。
── なんで、最近、みかさが俺から離れるんだろう。
笑顔で返事はしてくれる。
でも、目は逸らす。
手を伸ばしても、届かない気がする。
小さいころ、みかさはよく俺の手を握った。
隣にいた。
けど今は、違う。
俺は完璧でいることしか知らなかった。
何でもできることで、みかさを守ろうとしてた。
でも。
……守れてなかったのか。
目を閉じる。
あの頃、みかさは泣いて、俺の腕を探していた。
そのとき、心の奥で小さな声が聞こえた。
……え。
聞こえた。
みかさの声。
呟き。
お願いみたいな声。
俺も、気づかないふりをしていた。
心の奥で、同じことを思った。
誰にも言えないけど、同じ気持ち。
──その瞬間、胸が熱くなった。
体が、小さくなるような感覚。
視界が高くなる。
手足が重く、柔らかくなる。
なにこれ。
……みかさ?
布団の中、ちいさな手、ちいさな体。
俺の願いと重なったのか。
いや、これは……。
俺たち、二人分の願い。
重なったんだ。
同じ夜に。
同じ思いで。
世界が、少しだけ変わった。
明日、きっと、みかさは幼くなっている。
そして俺は。
近くにいても、手を出せない距離になる。
──逃げない。
守らなきゃ。
たとえ、みかさが俺を避けても。
いつか、隣で、抱きしめるために。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!