ろぜはいつも通りの声でノックする。
返事はない。
ドアを開ける。
カーテンの隙間から、朝の光。
ベッドの上、こんもりした布団の山。
近づいて、布団をぺらっとめくった。
一瞬、思考が止まる。
そこにいたのは。
小さい。
ありえないくらい、小さい。
ほっぺが丸くて、まつ毛が長くて、
呼吸がふにゃふにゃしてる。
三歳くらいの、みかさ。
ろぜ、23歳。
社会人。
人生それなりに経験済み。
でも今、完全にフリーズ。
数秒後、家が揺れた。
どたどた足音。
しおんが飛び込んでくる。
らいとも来る。
らぴすも来る。
全員、固まる。
ベッドの真ん中で、ちいさなみかさがもぞ、と動く。
ぱち。
目が開く。
ちら、と兄たちを見る。
舌足らず。
部屋の空気が一瞬で春になる。
ろぜ、崩壊。
らいと、無言でほっぺをつつく。
しおん、震える声。
そのとき。
廊下から足音。
めるとが扉に現れる。
眠そうな目。
そして。
ベッドの上を見た瞬間。
ぴたり、と止まる。
誰よりも、動かない。
小さなみかさが、視線をゆっくり動かす。
ろぜ。
しおん。
らいと。
らぴす。
最後に。
めると。
一瞬だけ、目が合う。
ほんの一秒。
みかさの指が、シーツをぎゅっと握る。
そして。
する、と目を逸らす。
体ごと、くるっと反対を向いた。
無意識みたいに。
めるとの喉が、わずかに鳴る。
いつもより、低い声。
返事はない。
小さな背中が、兄たちの方へにじり寄る。
ろぜがそっと抱き上げると、
みかさは素直に腕に収まった。
でも。
めるとが一歩近づいた瞬間。
ちいさな手が、ろぜの服を強く掴む。
無言。
説明も理由もない拒絶。
朝の光が差し込む。
完璧な双子の距離が、
たった一晩で、
指一本分、開いた。
それに気づいたのは。 ________。
そして。
めると自身だった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!