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第88話

87ワ
417
2026/03/21 06:26 更新
私が謎ゲボを吐いちゃった(仮)の一件があってから、私はクラスメイトの監視のもと、「極力休んでちょこちょこサポート」という位置付けをもらった。

現在というと芦戸さんを中心としたダンス隊に監視されつつある。完全にお荷物。
あなた
芦戸三奈
かいめーっ!!腕上がってない!!
あなた
あっ、はい!ごめんなさいっ、


私のミスで、今回ばかりは一度休憩を挟まざるを得なくなってしまった。

各々が水分補給をする中、私はもう一度振り付けの構成とミスした部分を思い出しながら、リカバリーガールから貰った飴を一つ頬張った。

初めこそ喉がガビガビで定期的に謎ゲボも出た為、飴玉は美味しくは無かったが、他と比べればまぁ食べることが出来た。

今は純粋に甘い。右頬でカロカロと飴玉を転がしていると、麗日さんが心配そうに近寄ってくる。
麗日お茶子
あなたちゃん、やっぱりまだ体調が悪いんじゃ…休まんでええの?
あなた
い、いえ!...ただ、私っていっつもこうだな....って鬱屈で仕方なくて...
麗日お茶子
ネガティヴあなたちゃんか!?
尾白猿夫
だいぶ落ち込んでるね…
蛙吹梅雨
今日に限ってミスの指摘多かったものね。
緑谷出久
ズバッと言う…
あなた
そういう星の元に生まれたんですきっと...
すると後ろから背中をポンと軽く叩かれる。
障子目蔵
大丈夫だ滝。さっきの動きも上手かった。
ミスこそあったが...次はうまくいくと、思う。
あなた
ほげェ…
上鳴電気
ウオッ珍し!!晦冥がオギャってら!
瀬呂範太
障子が彼氏だもんなぁ、そりゃオギャるわ
寮の玄関扉が開き、二人が顔を出した
芦戸三奈
どーしたの2人とも一?なんか用~?
芦戸さんがそう問いかけると、二人は顔を見合わせて二ヤリと不敵に笑った。
二人の間から、プリプリと可愛らしい雰囲気を漂わせた八百万さんがソロリと出てくる。
 



















八百万百
完成…しましたわ!!
その言葉が合図だったように、ダンス隊の私以外の女子メンバーが湧き立った。





葉隠透
えぇ〜!?早くない!?昨日の今日だよねぇ!?
麗日お茶子
み、見たーいっ!!
芦戸三奈
これで本番に向けて本格的に動けるね!!
あなた
…?
私が小首を傾げていると、休憩の延長と称して女子が寮の中へ一目散に入って行った。

残ったメンバーは私と同じく首を傾げながらも後を追う。

ちなみに目蔵くんはB組に用があるらしく、先に行っておいてくれと言われた。

















玄関を開けると事件性があると言っていいほどの叫び声を真正面から浴びる。

ドラムの練習をしていたであろうかっちゃんの罵声が矢継ぎ早に飛んで行った。
爆豪勝己
っるせェンだよ!!!
芦戸三奈
ごめんバクゴー!!...でもこれはすごい!!可愛い~!
葉隠透
早く着たいなぁ〜ッ!!


着る。可愛い。八百万さん関連。文化祭。


点と点が一つに繋がり、頭の中の電球が灯った。
あなた
衣装...ですか?
耳郎響香
そーなの!芦戸が既製品買ってきて、意見出し合って、仕上げはヤオモモ!
麗日お茶子
頭上がらんわ〜ッ!!






どんな服なんだろう。という期待と共に、「私も見たい。」そう言おうとして一歩歩く。しかしふと止まる。








脚とか...尻尾どうしよう。というかそもそも私に似合うのかな。可愛らしい皆に似合ったとしても私が着たら服に着られている風になってしまうのでは。
葉隠透
...フフン...あなたちゃん!
あなた
え?

葉隠さんは私に衣装を突きつけた。





黄色が主役と言っても良い、可愛らしい衣装。
あなた
…あれ、









なんか私だけスカートの裾に紺色のフリフリがついてる...?



女子陣を見上げるとニコニコ、ソワソワしている
あなた
えっと…これは…
麗日お茶子
あッ、えっとな!...あなたちゃん、ショッピングモールで私と回ってくれた時、可愛いお店のショーケースにあるワンピース...見てたでしょ?








麗日side





合宿前のショッピングモールで、殺虫剤を探す私の後ろをついてきていた滝ちゃんは、あるお店のショウウィンドウの前で立ち止まった。





気になって数歩引き返して、私の目に入ってきたのは、真っ白で、ところどころにフリルがついた夏にはぴったりの可愛いワンピース。
麗日お茶子
わぁ!ワンピースや...!!
麗日お茶子
あなたちゃん好きなん?
思わず歓声を上げてあなたちゃんを見ると、ちゃんは気まずそうに訂正した。
あなた
えっ、あっ......いや、目を惹かれたというか...
手袋をつけた手がガラスから離れて、だらりと下がる。
麗日お茶子
そうなんだ〜!あなたちゃんどちらかというとカッコいい方やから......意外!!
あなた
あは....古着だからかな..
あなた
......ただでさえ、見た目と個性がアレでしよう?ふんわりしたワンピースや風に靡くスカートは周りに迷惑だろうし、端的に似合わないから選んだことないんです。
あなたちゃんの声...ワンピースを見やる目は寂しそうで、諦めたようなそんな風に聞こえた。
あなた
今の格好も気に入ってるんですけどっ、
そうしてまた付け加えて、ぎこちなくあははと笑う
麗日お茶子
そうなんや...
麗日お茶子
ちゃん、こういう服めっちゃくちゃ似合うと...思うよ。すっごい...
私は思ったことを仕舞い込まずそのまま口にする



輪郭もシュッとしてて、目も大きくて、青くて。鼻筋も通ってる。肌も白いし髪も黒くて、薄い唇は花びらみたい。
そりゃ、こんな綺麗な子、爆豪くんも好きになるよね。





もしかしたら、デクくんだって……


そこまで考えて頭を振った。
ふと我に帰って、思わずあなたちゃんを見ると、ぎこちなく口角を上げていたあなたちゃんは目を丸くして私を見つめていた。
あの時のあなたちゃん、すごく綺麗なものを見る目でワンピースを見ていたよね。









私は、誰かの笑う顔が好き。







あなたちゃん、私は今まで、あなたの大笑いをしたところ、嬉しいからはしゃぐところ、見たことないよ。









見たい。あなたの、あなたちゃんのえがお。
あなたside
芦戸三奈
麗日さ、案出す時わざわざしっかり訂正まで入れてここはこう!!こうして一っ!!...って、自分のサイズ書くときより張り切ってかいめーの衣装仕上げ図書いて
たんだよ〜っ!
麗日お茶子
ちょっ、三奈ちゃんそれは言わんとって!!?
葉隠透
あなたちゃんいっつもダンスとかの指示が的確で優しくて分かりやすいし!一番最初に着てみて欲しいねってみんなで言ってたの!
フリフリが多くて、明るい黄色とコントラストの紺色...

















           可愛い
個性が発現する少し前、お父さんが仕事帰りに見つけたと言って新しい夏服としてワンピースを買ってきてくれた。

白くて、半袖と、スカートの裾についたフリルに黄色の模様が入った、シンプルかつ夏らしい、しかも可愛いレースとフリルがうまく合わさったワンピースだった。

次の日、私はかっちゃんと虫取りの約束をしていて、かっちゃんにどうしても見てもらいたくて、そのワンピースに袖を通して着て行ったことがあった。
幼少期勝己
うわ、あなたなにそれ。
あなた
お父さんがくれたの~。かわいいんだ。
幼少期勝己
虫籠と網を持ったかっちゃんは、私の周りをぐるりと回りながらジロジロと服と私を見る。


ドキドキとしていると、かっちゃんは口を開けた
しかめ面で、心なしか顔色が赤かった。
幼少期勝己
ぜんぜん、似合ってねー
唖然とする私に続ける
幼少期勝己
ブリブリしてて変。そんなんじゃかけっこもできねーし。
あなた
…あ…
そのあと出久くんが合流しても、かっちゃん不機嫌なままで、しばらく口を聞いてくれなくなった。








泣きながら家に帰ると父が数ヶ月ぶりの休みで、私の支離滅裂な話を聞くなり激昂し、家を飛び出して行った。
















       こんなのが着たかった

         












    『 鈍臭ぇのにそんなの着ンなよ 』





















 明るい服を着て踊れたらどれだけ楽しいだろうって



















『脚が付いてて変なのにわざわざ見える服着るンか。』






















          うれしい




衣装を見つめる視界はじわじわと熱を帯びて溢れていく
耳郎響香
...晦冥?
蛙吹梅雨
あなたちゃん…?
上鳴電気
麗日が...
















上鳴電気
晦冥泣かしたァ……
青山優雅
ン〜〜ッ、PTAッ☆
瀬呂範太
誰か彼氏っ、障子呼んでこいッ!!
麗日お茶子
え""ッ...!?
麗日お茶子
ごめんあなたちゃん!?私が早とちりしたかな!?白のフリルが良かったとか!?ちょっと派手すぎかなっ!?
麗日お茶子
すぐ修正を......
渡された衣装に伸びてきた手を、手首を掴む形で止めた。
あなた
こ、んな、…っ
あなた
...こんな、可愛い服、着たことっ、なくて.........
喉がツンと張ってスラスラと言葉を紡げない。
あなた
き、着て、良いって思ったこと、なかったからっ、
八百万百
晦冥さん…
麗日お茶子
麗日さんの手を離せなかった。



しんみりしている中、私の涙は止まることを知らず、ゴバゴバと涙腺が崩壊したみたく涙が溢れてくる。
瀬呂範太
良かったじゃん晦冥.........ん?ちょまって泣きすぎ泣きすぎ。涙じゃなくてほぼ水道だよどうした??
あなた
なみだがとまらぬあい......
葉隠透
た、沢山可愛い服着て良いんだよあなたちゃん!!私安くて可愛いお店、おすすめ沢山あるから!!今度見に行こう!?
蛙吹梅雨
あなただけ可愛い服着られないなんてない
のよ。絶対似合うわ!ケロ…
芦戸三奈
そうそうそう!!
女の子たち皆必死に励ましてくれて、葉隠さんはおすすめのお店を見せてくれるらしく、急いでスマホを取りに
エレベーターに駆けていった。
耳郎響香
...ちょっ、アンタら何突っ立ってんの?!晦冥に一言くらいなんか...言ってやんなよ!!
切島鋭児郎
お、おう..っ!
耳郎さんが男子達に叫ぶと、狼狽えていたみんなはゾロゾロと私を囲み出す
切島鋭児郎
晦冥っ、麗日たちが夜なべして考えたんだ!!絶対おめえに似合うよ!!な!?
尾白猿夫
そうだよ。晦冥さん私服はスタイリッシュな格好だし、フリフリしてても似合うと思うよ!
轟焦凍
...俺は服のことはよく分かんねぇ。…でも、別にフリフリくらい着てもいいんじゃねぇか?
上鳴電気
つーか俺超見たいよ!?晦冥のフリフリ!!
飯田天哉
うむ!!きっと晦冥くんに似合うぞ!!
口田甲司
うんうん!!、
芦戸三奈
ほ〜ら謹慎組イ!!!アンタら可愛い可愛い幼馴染ちゃんが泣いてンだよ!?言うことないワケ!?
緑谷出久
えぇっ!?
爆豪勝己
ア?
出久くんとかっちゃんは離れたところでこちらを伺っていた。
緑谷出久
あ…えっと……か、かか、…可愛いと、思うよっ、!昔もフリフリの服着てたしさ!うん!
爆豪勝己
………
葉隠透
爆豪くーんっ???
爆豪勝己
…べ
ガチャ。
玄関の扉が開いて、B組に行っていた目蔵くんが入ってくる。
障子目蔵
…あなた?
あなた
えぶぁ…
歩きだったのが早歩きになって、私のすぐそばに駆け寄った。
障子目蔵
どげ、ん……な、…どうした。
切島鋭児郎
おぉ…障子が珍しく狼狽えてる。
常闇踏陰
…アイツは晦冥関連になると分かり易くなる。
麗日お茶子
えっと実は…




事情説明中






障子目蔵
……そういうことか。
瀬呂・葉隠・晦冥
(( ホッとしてる… ))
目蔵くんは事情を把握して、私と、私の手の上にある衣装を見る。

そして、フゥ……と鼻か口か分からない息をついて、私の肩を優しく掴む。

眉をぐっと顰めている。
障子目蔵
惚気に聞こえるかもしれないし、あなたの場合世辞だと思うかもしれんがな、
障子目蔵
お前は、何着ても似合うと俺はずっと思ってる。
麗日お茶子
そ、うだよっ!!そう!!
芦戸三奈
かいめーってとことん自己肯定感低いよねー?なんで?
あなた
な、んでと言われましても…
横目で出久くんを見ると出久くんは原因君だよね…?と言わんばかりにかっちゃんを見ていた。
障子目蔵
ヒラヒラだろうがモフモフしてようが何着ても付けても似合うのをそろそろ自覚したほうがいい。
私の涙を指で拭い、体をくるりと回して、「分かったら着てこい」と言わんばかりに私の背中を押した。
あなた
は、はぃ…
思ったよりスカートは短く、タイツも良い具合。慣れない色にチカチカするが動く分には問題ない。
抜き足で共有スペースに戻るとみんな一斉にこちらを向く。
あなた
あ、の…キテミマシタ…
麗日お茶子
かわいいっ!!!!
葉隠透
やっぱり一気に華やかに見えるね〜!
耳郎響香
うん。フリルも良い感じに馴染んでる。ガーリーっぽくて…すごい…良い!
八百万百
お似合いですわ!!、窮屈なところはございませんか?
あなた
あ…強いて言うなら胸元ですかね。
最近目蔵くんが美味しいもの食べさせてくれるおかげでちょっと……増えたんだよね……(筋肉が)
八百万百
かしこまりましたわ!修正しておきます!
峰田実
ムネ!?…窮屈な部分見てやろうか…?
飯田天哉
本当に自重したほうがいいぞ君ィ…
わたしはくるりと振り向いて、足を進める。スリッパとフローリングが擦れる音が響いた。
爆豪勝己
なん…
かっちゃんを素通りする。
障子目蔵
私は目蔵くんに近寄る。感想が欲しかった。
あなた
へ、…変……かな。
障子目蔵
……………ハァ………
今度はこめかみを押さえてため息をついた。
やっぱり明るい色似合わないよね…



そう考えていると私の視界がガクンと縦に揺れて、気付けば床から足が離れていた。






おくるみ見たく包まれ、目蔵くんの足は黙ってエレベーターの方へと進んでいく。
あなた
え、あの、目蔵くん。あの…
上鳴電気
障子を止めろォッ!!晦冥が連れていかれるッ!!
蛙吹梅雨
あなたちゃんも難儀ね。ね?爆豪ちゃん。
爆豪勝己
….…
next
ついたーに載せたやつ (多分載せてなかったので)

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