あかねside
私は撮影が順調に進んでいったある日、かなちゃんからこんな話を聞いた。
私は有り得ないと思った。
でも、同時に有り得ると思った。
愛聖ちゃんはあんなに才能や人を惹きつける何かを持ってる。
そう言うかなちゃんの目には光が無かった。
炭のような真っ黒な瞳。
少しの沈黙、でもかなちゃんの言う事には凄く説得力があった。
ケロッと表情が変わり、更衣室に行った。
私は嫌な予感がして、愛聖ちゃんの居る更衣室に向かった。
私は思いきりドアを開けた。
愛聖ちゃんは少し目を見開いてからいつもの笑顔に戻った。
私は無駄な心配だったなと思いながら、愛聖ちゃんと話していた。
愛聖ちゃんがロッカーを開けた時、愛聖ちゃんの口が止まった。
私は思わず目を見開いた。
だって、私の目の先には
泥塗れで何度も踏まれたであろう衣装があったから。
沈黙が続く。
私は愛聖ちゃんの顔が見えなかった。
泣いてるの?怒ってるの?
解らない。愛聖ちゃんの事はどうしても。
そんな事を考えていると愛聖ちゃんは顔を上げた。
明るい声と可愛い笑顔で私の方を向きながらこう言った。
そう愛聖ちゃんは私に言った。
飛びきりの笑顔で。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。